研究課題/領域番号 |
12480255
|
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中村 孝夫 山形大学, 工学部, 教授 (00142654)
|
研究分担者 |
楠 正隆 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80214956)
馮 忠剛 山形大学, 工学部, 助手 (10332545)
|
キーワード | インスリン感受性 / インスリンクランプ / 糖代謝 / 筋収縮 / 強縮性 / 律動性 / ラット |
研究概要 |
今年度の研究成果は以下のように要約される。研究実施計画に従って、麻酔下に健常ラットの安静時(対照)インスリン感受性と座骨神経経由で後肢筋に筋収縮を誘発した状態でのそれを、インスリンクランプ法にて測定し、比較した。26頭の11週齢オスラットを用い実験を行い、強縮性(パルス幅250μs、繰り返し周波数40Hz)と律動性(パルス幅250μs、繰り返し周波数1Hz)の2種類の筋収縮を後肢筋に誘発した。印可した電気刺激信号強度は、血行動態の変化と運動神経以外の神経活動亢進をできるだけ抑制するために、筋収縮を目視できる最小値に設定した(約0.3V)。インスリン感受性データを得るための筋収縮誘発時間は約1時間を要した。これらの結果、12例でデータが得られ、(1)強縮性筋収縮を誘発してもインスリン感受性に有意な変化は見られなかったが、(2)律動性収縮を誘発すると感受性が有意に向上し(p<0.05)、血糖取り込みの亢進に律動性筋収縮が有効であることが示唆された。この結果は(3)糖尿病患者に対して臨床的に行われている運動療法の有効性を支持しているものと考えられる。なおこれらの急性実験は、今後開始する予定の慢性実験における手術手技確立のための予備的検討にも利用した。 次に、この結果に対する神経系の関与を検討するため、座骨神経を切断した状態で同様の実験を開始したが、これはまだ結果をまとめる段階に至っていない。また、筋収縮のインスリン感受性向上効果が健常ラットで確認されたので、糖尿病状態でのより顕著な効果を期待して、糖尿病モデルラットで同様の検討を行ってその効果を比較するために、昨年度確立した高脂肪食投与による方法にてII型糖尿病モデルラットを再度作成中である。来年度は、これらの実験から開始し、慢性実験へと進んでいく予定である。
|