研究課題/領域番号 |
12480256
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
河原 剛一 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20125397)
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研究分担者 |
當瀬 規嗣 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80192657)
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
山内 芳子 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (50230313)
内貴 猛 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (40241385)
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キーワード | 虚血 / アポトーシス / リモデリング / 心室細動 / 心室頻拍 / ミトコンドリア |
研究概要 |
冠動脈の閉塞に基づく心虚血によって、心筋細胞に対する酸素およびエネルギー基質の供給が低下し、さらに心筋代謝産物の貯留による細胞内環境の変化の結果、致死性不整脈や心筋細胞死などの様々な病態が生じる。本研究は、虚血による心室リモデリング現象のメカニズムを、ミクロな分子生物学的立場とマクロなシステム論的立場とからの解明を目指したものである。本年度は、虚血による心室リモデリングの分子機構および虚血致死性不整脈の発生メカニズムを解明することを目的として、成ラットおよびランゲンドルフ灌流心を実験対象とし、以下の研究成果を得た。 1.左冠動脈をその出口付近で結紮し、心筋梗塞を惹起した。その後2〜3週経過すると、左心室の形態変化や残存心筋の肥大化を特徴とする心室リモデリングが生じた。従来、冠動脈の結紮による急性期において、心筋細胞の壊死に加えてプログラム細胞死(apoptosis)の存在が知られている。しかし、TUNEL染色および活性化カスパーゼ3抗体を用いた解析により、急性期における心筋細胞死はそのほとんどが壊死であり、心室リモデリングの形成過程でのみ大量のプログラム細胞死が認められた。このことはリモデリングに伴う心臓の形態変化にアポトーシスが関与していることを示唆している。 2.成ラット・ランゲンドルフ灌流心においてburst pacingより心室頻拍(VT)や細動(VF)を誘発した。VT, VFの同定は、心室筋筋電図およびそのFFT解析や左心室圧波形解析により行った。刺激停止後にも持続するVF時において、ミトコンドリアのカルシウム取り込み活動をruthenium redあるいはRu360で阻害することにより、VFからVTへの遷移が生じた。一方、ミトコンドリアのカルシウム取り込み活動を活性化するspermineの灌流によっては、VTからVFへの遷移が認められた。
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