研究課題/領域番号 |
12480259
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
戸川 達男 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (40013859)
|
研究分担者 |
斉藤 浩一 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教務職員 (00205668)
小川 充洋 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助手 (30322085)
大塚 公雄 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (00211798)
横関 博雄 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (90210608)
|
キーワード | QSART / 発汗 / イオントフォレシス / 単一汗腺 / 電導度計測 |
研究概要 |
本年度の成果は、以下の3点である。 (1)4個の単一汗腺活動の計測システムの開発:4筒のシリンジポンプおよび単一汗腺の観察できる改良型電導度セルを製作し、健常被検者手掌において精神性発汗を記録した。その結果、4個の汗腺の活動に顕著な相違が見られ、また同期して活動する汗腺群も認められ、個々の汗腺の神経支配の様相を調べるのに有望な方法であることを確認した。 (2)軸索反射性発汗試験への応用:従来の定量的軸索反射性発汗試験(QSART)と同様に、測定領域の周辺からアセチルコリンをイオン導入して、約6mm^2の領域において発汗反応を電導度セルで検出した。その結果、従来のQSART法とほぼ同様の軸索反射性発汗が記録されたが、従来法の記録と異なり、多くのパルス状の波形が重畳しており、個々の汗腺の発汗波形が記録できることを確認した。 (3)アセチルコリンの直接作用の測定への応用:電導度セルの灌流液に短時間アセチルコリンを流し、測定領域に直接アセチルコリンをイオン導入して、アセチルコリンの直接作用を測定する方法を試みた。その結果、アセチルコリン導入時に大きなアーチファクトが重畳するものの、パルス状の発汗波形が記録されることを示した。その反応は、汗腺へのアセチルコリンの直接作用によると考えられる。 今年度の研究は、ほぼ実施計画通り行われ、ポーランド科学アカデミーからの招聰研究者との共同実験も行うことができた。しかし、発汗異常の患者での測定およびレーザードプラスキャナとの比較は、準備を進めていたが、年度内には実施できなかった。 以上のように、実施計画の全項目を終了させることはできなかったが、アセチルコリンの直接作用の測定においては、実施計画段階では期待できなかった成果が得られており、本研究から、電導度法の有用性を示す多くの新たな知見が得られ、電導度法という新たな発汗計測法の基礎が確率させた。
|