研究課題/領域番号 |
12480267
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
南谷 晴之 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70051779)
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研究分担者 |
安藤 興一 放射線総合医学研究所, 第三研究グループ, サブグループリーダー (00159526)
岡 浩太郎 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (10276412)
谷下 一夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
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キーワード | 腫瘍細胞 / 酸素輸送 / 照射治療 / バイオメカニクス / 光線力学治療 / 微小酸素電極 |
研究概要 |
放射線照射治療の高い効果を得るためには、腫瘍組織内に酸素付加させて、酸素濃度を高めておく必要がある。一方、光線力学治療(Photodynamic Therapy : PDT)は、腫瘍親和性光感受性物質を投与し、光照射により光化学反応を起こし、癌細胞を破壊するという原理に基づいた治療法である。放射線照射治療と光線力学治療とを複合させることによって、腫瘍細胞を確実に破壊する治療が実現することになる。このような治療の実現のためには、酸素加された腫瘍細胞の照射による細胞の破壊効果、選択的な光感受物質の取り込みの促進に対する条件を明らかにする必要がある。そこで、本研究では、酸素付加による照射感受性改善のプロセス、腫瘍細胞の光感受性物質の取り込みの能動制御の結果起きる光化学反応の活性酸素産生のプロセスを明らかにすることが目的である。腫瘍親和性をもつ光感受性物質Zn coproporphyrinIIIを肺小細胞癌MS-1に投与し、癌細胞に蓄積した時点でNd : YAGレーザー第2高調波(波長532nm、パルス半値幅6nsec、繰返し周波数10Hz)で励起すると蓄積した光感受性物質から578nmの蛍光が放射され、さらにレーザー照射を継続することで活性酸素産生による細胞死が誘導された。組織微小血管では光化学反応に基づく活性酸素産生が増大し、血小板と白血球の活性化と粘着能の亢進が起こり、血栓生成から血流遮断へ至る過程が明らかとなった。
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