研究概要 |
1.Skinfold window chamber法による微小循環動態の観測:ハムスター背部皮下微小循環を無麻酔非侵襲観測できる実験系を利用し、出血ショック蘇生試験を実施した。循環血液量の50vol%を急速脱血し血圧を40mmHgに1時間維持した後、Hb小胞体(HbV)を投与した。血圧・血液ガス組成(pO_2,pCO_2,pH,塩基余剰)の速やかな回復がみられ、脱血液を投与した場合と同等であり、対照のアルブミン単独と比較して有意に優れていた。背部皮下微小循環動態はHbV投与により改善されるが、抵抗血管の収縮が非可逆的であるため、観測時間内では十分な回復ではなかった。しかしアルブミン投与群に比較して優れており、HbVの酸素運搬の効果と考えられた。これらの結果を整理して論文投稿することができた(Am. J. Physiol.)。また、共焦点顕微鏡により、蛍光ラベルしたHbVを観測。肝臓への捕捉の経時変化を計測することができた。脾臓や梗塞モデル臓器での観測も行う予定である。 2.フラッシュ照射による微小循環動態解析:経皮的血球流動観測手段としては、血球を静止させて撮影するため発光時間40μsec、発光周期1/30-1/60secの高エネルギーXeフラッシュをCCDカメラと同調させる方法が利用できる。照射波長をHbのQ帯吸収の550nmとして血球のコントラストを得、皮膚表面での散乱抑制には限外照明系を採用している。アルブミン溶液で高度血液希釈(80%超)を行った場合、心拍出量は1.5倍に増大するが、毛細管内の血球流速は初期値の3倍にまで増大する場合があることが明らかになった。また、有効毛細管密度、ヘマトクリットが観測でき、新しい診断技術としての可能性が示された。本結果は整理して論文として投稿済(Microvasc. Res.印刷中)。
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