研究課題/領域番号 |
12490003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大泰司 紀之 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (50001532)
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研究分担者 |
小城 春雄 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (70113537)
井上 貴央 鳥取大学, 医学部, 教授 (20116312)
鈴木 正嗣 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90216440)
冨士田 裕子 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50202289)
金子 正美 北海道環境科学研究センター, 自然環境保全科, 科長
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キーワード | 北方四島 / 脊椎動物群集 / 種多様性 / 海鳥類 / 海棲哺乳類 / ビザなし専門家交流 / ヒグマ / シマフクロウ |
研究概要 |
北方四島(国後島・択捉島・歯舞諸島・色丹島)の現地調査は、ビザ無し渡航による専門家交流として平成12年7月19日から10日間実施した。500tの旅客船(母船)をチャーターし、現地から乗船した国立クリリスキー自然保護区職員2名、サハリン漁業規制局の海獣類監督官3名と共に、母船および小形調査船(40t)の船上から海獣・海鳥類の生息数および生息環境調査を実施した。色丹島海域では主として海獣類と海鳥の調査(2日間)、国後島(4日間)と択捉島(2日間)では海鳥・海獣類のほか、上陸して淡水魚類、陸生動物および植物の調査を行った。 調査の結果、アザラシ類296頭、鯨類7種270頭を数え、とりわけ択捉島周辺の海域では10〜20頭のシャチの群れと幾度も遭遇した。シャチが高密度で生息できることは、この海域の生物資源が非常に豊富であるかを示している。「四島」が流氷域にあるため豊富なプランクトンが発生し、寒流と暖流によって、亜熱帯域と亜寒帯域から魚群が集まる。これらの魚類を餌として海鳥と鰭脚類(アザラシ科のゴマフアザラシ・ゼニガタアザラシ・クラカケアザラシ・ワモンアザラシ、アシカ科のトド・オットセイ)およびイタチ科のラッコ、および各種の鯨類の種の多様性が維持されている。 陸上調査では、ヒグマの生息密度は知床半島の3倍以上と推定され、ヒグマの平均体重は400kg、最大650kgであることは、世界最大のコディヤックベアーに匹敵し、サケ類を主たる餌とすることによると考えられた。クリリスキー国立自然保護区のセオイ川流域一帯のシマフクロウの営巣密度が世界一であることも、餌となるサケ類が豊富であることによる。
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