研究分担者 |
小山 真人 静岡大学, 教育学部, 助教授 (70183811)
笹本 正治 信州大学, 人文学部, 教授 (70111820)
森田 悌 群馬大学, 教育学部, 教授 (00019332)
藤田 明良 天理大学, 国際文化学部, 助教授 (50309514)
林 信太郎 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (90180968)
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研究概要 |
笹本著書『鳴動する中世-怪音と地鳴りの日本史-』において,次を論じた.中世の人々は,祖先の墓や神社などが鳴動して,人々に危険を伝えると考えていた.近世になると科学的思想が強くなり,そうした考え方が薄れてきた.災害についても,神仏がもたらすものだとする意識が弱まっていった. 『日本後紀』塙本を三条西本および岩瀬文庫本と比較して,塙本の原本が岩瀬文庫本であることを結論した. 近世初期の自然災害記録媒体である『当代記』からすべての自然現象・災害に関する記述を拾い出してデータベース化し,それにもとづいて自然現象に対する『当代記』の記録特性の分析を試みた.自然現象・災害記述は,1600年頃を境とした記述量増加にともない,大きな事件前後の細かな気象情報も含めて詳細に書かれるようになっていることから,1600年頃から執筆され始めた(あるいは執筆材料としての同時代データが収集された)と考えた.最も記述件数が多くかつ詳しい東海地方において,安濃津と伊賀における記述の少なさは特異である.とくに安濃津は,主要街道である東海道が通過しているにもかかわらず,地名登場の少なさが際だっている.この安濃津(もしくは伊賀)こそが,『当代記』筆者の居住地だったと推定した. 鳥海火山東部山腹で十和田a火山灰直下にある灰色粘土質火山灰を発見した.日本三代実録に残る鳥海山の貞観十三年(871年)噴火の記録と地質学的記録を照合したところ,この火山灰は貞観十三年噴出物の可能性が高いことを明らかにした. 森吉山山頂付近から9mmの湿原堆積物を介して重なる2枚のガラス質火山灰を発見した.下位のものが十和田a火山灰,上位のものが白頭山苫小牧火山灰であることを明らかにした.
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