研究概要 |
分裂シグナル伝違 1)分裂酵母の低分子量Gタンパク質Rho1,Rho2の下流に分裂酵母のPKCであるPck2が存在し、Rho1はPck2を安定化すること、Rho2はPck2を通じてαグルカン合成酵素活性を調節し隔壁合成に関わっていることを明らかにした。2)ウニ未受精卵をcalyculin Aで処理することにより、卵の張力が増大すること、これが卵表層でのアクチン重合によること、同時に活性型ミオシンも卵表層に集合すること、またこの過程でミオシン軽鎖は一重、二重のリン酸化を受けていることを明らかにした。 収縮環の形成機構 アフリカツメガエル卵の分裂溝伸長端を詳細に観察し、まず表層の流れが起りおそらくミオシンがこれに乗って分裂溝にパッチ状に集まること、アクチン繊維はこれより遅れて同じ部位にパッチ状に集まること、アクチン繊維の集合にはアクチンの重合が寄与していること、ミオシンとアクチン繊維のパッチは連がり合ってファイバーとなり、収縮環を作ることを明らかにした。 ミオシンの役割 分裂酵母のII型ミオシン重鎖Myo2,Myo3の分裂溝への集積はほぼ同時に起ることを明らかにした。これまで分裂必須タンパク質として知られていたCdc4がMyo2,Myo3に共通の軽鎖であることを明らかにした。さらに新たなミオシン軽鎖Rlc1を発見し、これが主としてMyo3の調節軽鎖であることを明らかにした。Myo2が分裂溝に集積する様子を観察し、収縮環形成前にアクチン繊維に依存せずスポット状に分裂部位に集まること、スポットは網目状になり、網目がパックされて収縮環となること、網目のパッキングの過程でアクチン繊維と相互作用して収縮環を形成することを明らかにした。分裂溝へのミオシンの集合の仕方は分裂酵母とカエル卵で基本的に同様ではないかと考えられる。
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