研究課題/領域番号 |
12490019
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
佐々木 隆造 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (60077378)
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研究分担者 |
福渡 務 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助手 (50295630)
神戸 大朋 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (90303875)
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キーワード | エリスロポエチン / 腎臓 / 脳 / 神経細胞死 / 遺伝子発現 / 脳虚血 / 低酸素 / 赤血球造血 |
研究概要 |
エリスロポエチン(EPO)は赤血球造血に作用する糖蛋白質であり、成体では腎臓で生産される。長い間EPOは赤血球前駆細胞に作用してその分化・増殖を促進することが唯一の生理的意義と考えられてきたが、当該研究者はEPOが中枢神経系でも作用することを発見した。すなわは、ストログリアがEPOを生産し、EPO受容体を発現しているニューロンに作用し、虚血等によるニューロン死を抑制する。 EPOの遺伝子発現は低酸素により顕著に誘導される。腎臓、脳におけるEPO遺伝子発現低酸素により誘導されるが、誘導のパターンが顕著に異なることを発見した。動物を低酸素ボックス(7%酸素;通常の空気は酸素21%)に入れ、経時的に腎臓、脳のEPO mRNAおよび血液中のEPO濃度(腎臓由来のEPO)測定した。腎臓のEPO mRNAと血中EPOは低酸素暴露後約4時間で誘導のピーク(40-80倍)を示し、その後は動物を低酸素に暴露し続けるにもかかわらず誘導は速やかに低下する。他方、脳のEPO mRNAは低酸素が続く限り誘導が維持される。この違いを説明する分子機構は不明であるが、生理的意義は重要である。すなわち、腎臓におけるEPOの過剰生産は赤血球過剰となり疾患を引き起こすが故に、低酸素状態でもブレーキが働いてEPO遺伝子発現が低下するが、脳のEPOはニューロンを守るために低酸素状想である限り高発現が維持される。 当該研究者の発見した脳EPOのニューロン保護作用は、多くの他の研究室の結果によっても支持されており、EPOを脳虚血患者に投与するための臨床研究も進行している。EPOは長年に渡って腎性貧血の患者に投与され著効を示し、その安全性が確立されている。
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