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2000 年度 実績報告書

Cdk5とホスファターゼによる視細胞の光-化学信号変換能力の調節

研究課題

研究課題/領域番号 12490023
研究機関神戸大学

研究代表者

林 文夫  神戸大学, 理学部, 教授 (80093524)

キーワードタンパク質リン酸化 / ホスファターゼ / CdK5 / 視細胞 / 光情報変換 / 網膜 / cGMP / ホスホジェステラーゼ
研究概要

脊椎動物の視細胞に存在する光信号変換機構は3量体型Gタンパク質が仲介する細胞シグナリングシステムである。この系の活性化過程はかなり分かってきたが、不活性化過程については不明な点が多い。申請者はこの系のGタンパク質の標的酵素であるcGMP-加水分解酵素(PDE)がリン酸化されることを発見し、そのリン酸化現象の生理的意義について検討た。
1.本年度の成果:1)PDE上のリン酸化部位は、その阻害サブユニットであるPDE_γ(P_γ)の^<22>Thrである。^<22>Thrはプロリン指向性プロテインキナーゼの共通リン化部位として知られるアミノ酸配列PXTPの中に位置する。2)トランスデューシンαサブユニット(T_α)が退色ロドプシンとGTPによって活性化されると、P_γを結合してPDE_<αβ>(P_<αβ>)の触媒活性を開放するが、Cdk5はこの際に形成されるGTP-T_α/P_γ複合体上のP_γを選択的にリン酸化する。3)リン酸化酵素はCdk5(神経特異的サイクリン依存性キナーゼ)である。4)リン酸化されたP_γはトランスデューシンが不活性化されるのを待たずにP_<αβ>に対する親和性を強め、P_<αβ>を抑制する能力を持つようになる。5)生きた視細胞内でもこの光依存的P_γリン酸化現象を確認したが、その定常的リン酸化量はP_γ全量の数パーセントに過ぎなかった。
2.今後の研究の展開:当初予定した成果に加え申請者は最近視細胞光受容膜にリピッド・ラフトが存在することを発見した。この局所膜領域に活性化されたPDEが集合する。このPDEにはP_γが再結合しているがなお活性を維持しており、単にGタンパク質が不活性化しても、必ずしもPDEが阻害されるわけではないことが示唆され、ここでもCdk5によるリン酸化が不可欠となる可能性が示唆された。本年度以降はラフト上のPDEとそのリン酸化の意義について検討したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Hayashi,F.: "Phosphorylation by cyclin-dependent protein kinase 5 of the regulatory subunit of retinal cGMP phosphodiesterase.II."J.Biol.Chem.. 275. 32958-32965

  • [文献書誌] Matsuura,I.: "Phosphorylation by cyclin-dependent protein kinase 5 of the regulatory subunit of retinal cGMP phosphodiesterase.I."J.Biol.chem.. 275. 32950-32957

  • [文献書誌] Kachi,S.: "Structural change of bovine retinal cGMP phosphodiesterase by release of its gamma subunit : direct imaging by improved low angle rotary shadowing"J Electron Microsc (Tokyo). 49・5. 699-708

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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