研究課題/領域番号 |
12490028
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
和田 充夫 慶応義塾大学, 大学院・経営管理研究科, 教授 (00119041)
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研究分担者 |
山根 節 慶応義塾大学, 大学院・経営管理研究科, 助教授 (90265934)
美山 良夫 慶応義塾大学, 文学部, 教授 (70147130)
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キーワード | アート・マネジメント / ビジネス・スクール / アート・カリキュラム / 文化政策 / 著作権 / ケース・メソッド / アート・センター / アート消費者 |
研究概要 |
本研究は、大学院レベルのアート・マネジメント教育のためのカリキュラムの開発・教材の開発を主たる研究目的としたものである。研究初年度の平成12年には、まず米国コロンビア大学アート・マネジメント・スクールの履修者からの面接ヒアリングを国内で行なった。ついで、慶應義塾大学アート・センター主催による「ビジネス・スクールに学ぶケース・メソッドによるアート・マネジメント・エキスパート・セミナー」の開催に向けて全13セッションにわたるカリキュラム開発準備を行なった。ここではセミナー教材として使用するため、3本の事例ケース、世田谷美術館、すみだトリフォニー・ホールおよび株式会社博多座を作成した。ケース作成プロセスにおけるデータ収集や面接取材において、アート・マネジメントに対する認識、必要性の理解、実際の運営能力あるいは自主企画力についてかなりバラツキがあることが判明した。公共性と経済性の問題については実践の場においていまだ明快な解答がえられていないことも実感した。同セミナーは、実際には平成12年9月より13年1月にわたって開催されたが、定員20名の募集に対して100名近い応募があり、最終30名弱の受講者についても学習意欲が極めて高いことが実証され、アート・マネジメント教育に対するニーズが極めて強いことが明らかとなった。 本研究ではさらに、我が国のアート・マネジメントについての研究・教育プログラムのレベルが極めて低いレベルにあるという認識をえて、米国およびドイツ、イギリス、フランスにおけるアート・マネジメント研究教育機関の訪問面接調査を行なった。これらの調査の中間的な結論としては、アート・マネジメント・カリキュラムの中核をなすものがビジネス・スクール・カリキュラム、特に会計管理、マーケティング、組識マネジメントであること、アート・マネジメント教育に固有な科目として文化政策論や著作権論であるという知見をえた。さらには需要調査そのものおよび調査技法の必要が認識された。従って、本研究の2年次には、消費者調査を行ない、そこでの需要の実態把握と調査技法の確立を企図したいと考えている。
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