研究概要 |
日米仏における質問紙による哺乳・離乳の支援・制限要因の比較と.主に日本における質間紙・日記・インタビューなどの研究のまとめを行った.国際比較調査に関しては,資料収集後分析を行っている.一方,日本における研究においては,全国の保健センターでの哺乳・離乳指導実施状況の調査,3歳児健診における母親の哺乳・離乳実践の実態調査,母親・父親・祖母への意識調査,母親における育児の進行に伴う哺乳・離乳様式の選択過程,第1子と第2子の哺乳・離乳様式の比較,哺乳とセクシュアリティのコンフリクトに関する調査,など多岐にわたる資料が収集された.その結果として主要なものをあげれば,母乳が母親にとって子との心理的結合や子の健康などにとって非常に望ましいものとして認識されていること,したがって母乳の出具合が母親にとっての関心事で,かつ実際の母乳哺育終了の大きな原因であること,それが逆に母親のストレスにもなっていること,授乳スタイルが育児信念と関連すること,育児を繰り返す中で哺乳・離乳スタイルが比較検討され選択されること,そして哺乳とセクシュアリティが強く拮抗し,夫との関係が哺乳・離乳スタイル選択の重要な要因となりうること,など多くの事実が明らかにされ,それが当事者である母・子だけでなく,父親・祖母・専門家などの多様な人々と,人工乳というモノが関与した複雑な過程であることが示された.この成果をもとに今年度発達心理学会においてシンポジウムを開催するとともに,分析が終了した段階で全体を報告書にまとめる予定である.
|