研究課題/領域番号 |
12490032
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
丸野内 棣 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 教授 (90181825)
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研究分担者 |
松下 文雄 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助手 (50298543)
田中 正彦 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 講師 (60267953)
角川 裕造 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 講師 (00261199)
亀山 俊樹 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助手 (60298544)
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キーワード | 神経幹細胞 / 最終細胞分裂 / 転写調整因子 / Notch / NZF / エレクトロポレーション / GFP / 共焦点顕微鏡 |
研究概要 |
1 神経細胞とグリア細胞の両方の分化にNotchが関与していることが、われわれを含む多くの研究から明らかになってきた。分化直前の最終細胞分裂とNotchの発現との関係を明らかにする目的で神経細胞とグリア細胞の両方に分化誘導することができる胚性がん細胞株P19を用いて、遺伝子導入による解析を行った。その結果、活性型Notch2遺伝子の強制発現によりP19の神経分化が抑制されることが明らかになった。また遺伝子強制発現で神経分化が抑制された細胞に隣接していた細胞では、誘導因子を与えない状況下でも神経に分化していることが観察され、培養細胞の系でNotch2による神経分化の側方抑制が起きていることが認められた。この系を用いることにより不等分裂の解析をすることができる可能性が出てきた。 2 我々はこれまでに、Notchが生後マウスの小脳や海馬歯状回において主として放射状グリア細胞で発現していることや、Notchの発現がグリア細胞の増殖性と正の相関を示し、分化の程度と負の相関を示すことを明らかにした。本年は、Notchの小脳放射状グリア細胞における機能を調べることを目的として、小脳層構造形成をin vitroで再現するスライス培養系において、electroporation法を用いた遺伝子導入により活性化型または抑制型のNotchを発現させる実験系を確立した。今後この実験系を利用して、放射状グリア細胞の性質の変化、更には小脳層構造形成への影響を解析する予定である。 3 NZFは神経系に発現するC2HC zincフィンガー型転写制御因子の一つである。NZF-3の発現時期を検討するため、胎生9.5日胚の神経管におけるNZF-3の発現パターンとBrdU取り込みによりラベルされた増殖性細胞の分布を比較した。その結果、NZF-3が神経系の細胞の増殖停止および分化開始とタイミングを合わせて一過的に発現することを示した。マウスで新しく発見したNZF-2のサブタイプNZF-2bの発現領域を調べたところ、NZF-3と同様な時期と場所の神経系細胞で発現を開始することを見出した。これらの発現パターンは、NZF-2bとNZF-3が分化のタイミングの制御とそれに続く成熟過程に関わっていることを示唆している。
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