研究課題
1、『令集解』ほかに引用される中国書(漢籍名や引用文)のデーターベースを作成した(未完)。2、国立国会図書館・国立公文書館・東大史料編纂所・宮内庁書陵部・蓬左文庫などの調査を行い、『大明律』ほかの紙焼き写真を入手し、分析研究を進めた。特に、これらの調査で蓬左文庫の明律が、朝鮮版であることが明らかとなり、今後その原本が何であるかを調べる必要が発生した。3、平成12年10月20日から26日まで、中国側研究者5名を招聘し、また平成13年3月22日から27日まで日本側研究者4名を派遣し、両地でそれぞれシンポジウム「法律制度よりみた日中の交流」を開催した(10月20日・25日於皇學館大学、3月25日於中国政法大学)。なお個別報告は、以下の通り。(1)南玉泉「秦代における国有地とその管理」、(2)徐世紅「江陵鳳凰山10号漢墓出土の木簡-漢代の契約に関する新史料-」、(3)鄭顕文「僧尼令集解からみた唐代の道僧格」、(4)楊育棠「『明志』刑法志の訂正」、(5)沈厚鐸「沈家本と日本法及び法学者」<於皇學館大学>(1)荊木美行「日本における律令研究の現段階」、(2)岡野友彦「日本中世における壁書について」、(3)大庭脩「江戸時代に輸入された明清の法書」、(4)田浦雅徳「明治初期刑法における清律の影響について」<於中国政法大学>特に田浦報告では、明治刑法への中国法の影響が、熊本藩の研究した清律によることが明らかとなった。なお、科研費の採用が10月であったため充分な成果とはいえないが、来年度以降に所期の成果を挙げたい。