研究課題
1、今年度の海外博物館調査では、以下のような成果を得た。(1)ドイツ・ポーランドでは、「戦争展示」の問題を中心に調査した。ベルリンで公開中の「ドイツ国防軍の犯罪」展は、数年前に同じテーマでドイツ中を巡回展示したものの誤りを修正し、批判的意見を生かして再度練り直したものである。批判的な意見も展示場で見せるという論争的な展示方法の持つ斬新さだけでなく、戦争犯罪をナチスだけに負わせてきたドイツでの新たな戦争責任に関わる展示としても得る所が多かった。ユダヤ人博物館・テロルの館(一部展示)・アウシュビッツ博物館でも、戦争展示の現在的意義を学ぶことができた。ドイツの博物館教育については、ベルリン博物館教育機関(MPD)代表のヨツヘン・ボーベルク博士から現状について講義を受け、討論したが、あらためて博物館教育の意義を再認識した。(2)韓国では、昨年から継続して、国立民俗博物館・戦争記念館・独立記念館・韓国民俗村・西大門刑務所歴史館で展示および教育活動についてのあり方を調査し、意見交換した。展示にメッセージ性が強く、展示ガイドを充実させて、展示内容の観客への浸透をはかる姿勢が顕著で、ホームページでの情報提供が進んでいることがわかった。2、教育プログラムの考案・実施の面では、昨年から続いて、(1)教育員(Educator)実習のためのプログラム、(2)学校教育のための教育プログラムを考案・実施した。3、国際セミナー「博物館とデジタルメディア」を開催し、イギリスのV&A博物館のデビット・アンダーソン氏の報告を中心に議論した。館内からは新開発の「絵画資料自在閲覧システム」の意義について、理論面および「江戸図屏風」を実際に使った教育プログラムとその問題点についての報告、がなされた。活発な議論が展開された。4、国内では、大阪歴史博物館・大阪住まいのミュージアムを調査見学した。
すべて その他
すべて 文献書誌 (3件)