研究課題/領域番号 |
12490038
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
BAXTER J・C 国際日本文化研究センター, 海外研究交流室, 教授 (60321618)
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研究分担者 |
鈴木 貞美 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60179207)
園田 英弘 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50027562)
河合 隼雄 国際日本文化研究センター, 研究部, 所長 (00025107)
渡邉 雅子 国際日本文化研究センター, 海外研究交流室, 助教授 (20312209)
KERN T・D 国際日本文化研究センター, 海外研究交流室, 助教授 (70321619)
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キーワード | 歴史叙述 / 歴史概念 / ヒストリオグラフィー / 明治期 / 19世紀 / 新しい造語 / 上海 / テキスト・原典 |
研究概要 |
カリフォルニア大学サンタバーバラ校では、「歴史叙述における中国と日本の相互の影響」を焦点に討論が行われた。マシーニ氏は、1600年前後と19世紀における中国・西洋・日本の語彙の出会いと新しい造語の創造について報告を行った。リン氏は、"中国の伝統における最後の偉大な古典詩人"と言われる黄遵憲による『日本雑事詩』の分析を行った。清国の外交官として1877年から5年間東京に赴任した黄は、明治日本へのかなり高い評価をこの詩集で1879年に発行し、1890年に補足修正版で出した。クルツ氏は、19〜20世紀の中国の科学用語に認められるヨーロッパと日本の論理概念モデルの痕跡について報告した。この言語学的分析は、論理や方法論の伝達の歴史に光を当てるものであった。フォーゲル氏は、1860年代の上海における日本人の伝統的な自己研鑽と美術品の収集を目的とした旅行についての研究報告を行った。劉氏は、19世紀の中国・日本・西洋を結ぶ情報ネットワークの中心としての上海の役割について発表を行い、「近代」が宣教師や学者、官僚、そして印刷や出版業に関っていた人々によって作り出されたものであることを示した。ウェイクマン氏は、これらの発表論文に対してコメントを下さった。 カリフォルニア大学ロサンゼルス校では、「歴史叙述から見た原典(text)」をテーマにセミナーが開催された。鈴木氏は19世紀後半の日本における歴史概念の再編成を歴史書の出版という見地から分析し、従来の歴史学発展の解釈の見直しを提案した。マルラ氏は、日本における文献学及び文芸学の美学論の近代史について報告を行った。カーン氏は、日本の舞台芸術の歴史について、特に狂言を取り上げて発表を行った。プルチョウ氏は、歴史叙述と御霊信仰の関係について、菅原道真を例に取り分析を行った。メリ氏は、20世紀における「もののあわれ」概念の使用について文学的見地から発表を行った。衣笠氏は20世紀日本の美学における著名な思想家について研究報告を行った。 本研究会で得られた成果は歴史学にあたらしい視点・知見を貢献すると思われ、来年度以内纏めて発行したい。
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