研究課題/領域番号 |
12490038
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
|
研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
BAXTER James c. 国際日本文化研究センター, 海外研究交流室, 教授 (60321618)
|
研究分担者 |
鈴木 貞美 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (60179207)
園田 英弘 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50027562)
白幡 洋三郎 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (10135543)
渡辺 雅子 国際日本文化研究センター, 海外研究交流室, 助教授 (20312209)
KERN T. D. 国際日本文化研究センター, 海外研究交流室, 助教授 (70321619)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
キーワード | 歴史叙述 / 歴史概念 / ヒストリオグラフィー / 規範意識 / 歴史教育 / 価値 / 自然科学史 / 歴史小説 / ジェンダー・女性史 / 画像史料 / visual materials |
研究概要 |
平成12年度は知識人の言説に焦点を絞って研究をすすめた。その成果発表となるワークショップでは、西洋人宣教師・医学者、中国人知識人、日本人知識人による自然科学、哲学などへの翻訳の貢献を分析した。まず、訳語が歴史叙述に与えた大きな影響が指摘され、さらに19世紀の翻訳者の業績を評価する際には、それ以前すなわち16〜18世紀に活躍した先駆者の功績を無視できないことが明らかにされた。文化、思想交流空間としては、上海が東亜の「近代」の出発点となったことも指摘され、明治期から昭和初期にかけて日本で歴史叙述がジャンルとして確立していく過程で、国民国家意識の形成と出版業界の及ぼした影響も討議された。 平成13年度は、民俗学の問題意識と歴史叙述をテーマに、日本近世・近代史の幾つかの問題点を再考察した。民俗学の方法を組み入れても歴史学の叙述に関わる問題点の根本的解決にはならないという指摘がされる一方、この二つの学問分野間の対話が互いの方法論の発展に寄与していることが明らかにされた。 平成14年度は、総括の年として多くのテーマを扱った。主なものを挙げれば、歴史叙述のなかの知覚と歪曲、歴史小説、ヒストリオグラフィーと多国文化交流・相互知覚の問題、画像資料に表れる歴史とヒストリオグラフィー、近代日本におけるヒストリオグラフィーとジェンダー、映画と舞台における歴史学などである。 3年間の北米の研究者との共同研究から、日本人の歴史意識と価値・規範意識を把握するには、ニュアンスを込めた問題意識を念頭に、学際的なアプローチを取らなければ成果があがらないことを本研究は証明した。なぜなら、単一の「歴史意識」や「価値・規範意識」を特定することは出来ないからである。日本人の価値と規範は様々であるし、その歴史意識は多重複雑である。今後の歴史叙述研究および歴史理解にこの多様性・多重性が反映されることが望まれる。
|