今年度の研究テーマは、(1)オーサリングツールとしてのシステム改善を目指すことと、(2)開発したシステムを利用してドライバーの安全教育を実施することの2点であった。 昨年度は危険源画像作成教材のオーサリングツールとしてのシステムのプロトタイプを完成させたが、今年度はこれをさらにリファインした。内容は、映像の貼り付けを市販の映像編集用のソフトを使い映像取り込みと編集を容易にしたこと、特にドライバーの交通安全教育用として30の交通場面をデータベース化し、教育内容に応じて取捨選択して利用できるようにした点である。オーサリングシステムは、交通安全のみならず、防災一般の危機管理能力としての、危険予測能力診断と教育に利用可能であり、各現場にあったオリジナルな診断テストの作成が以下の流れで作成可能である。〔撮影〕-〔映像素材の加工〕-〔映像の取り込み〕-〔タイトル等の設定〕-〔危険エリアの設定〕。本システムは映像の取り込み以降において生かしうる。 今年度は、このシステムの有効性を検討するために、青森において実験教育を行った。青森市役所職員60名を20名ごとの3つの小グループに分け、危険予知訓練について小集団教育を行った、テーマは、「一時停止・確認」とした。各グループについてのトレーニングを以下のプロセスで行った。〔交通事故原因の評価〕-〔オーサリングツールにより作成した危険知覚テスト〕-〔事故実態についてのフィードバック〕-〔一時不停止行動についての討議〕。これまでの危険予測テストで使用されてきたような地元と無関係に作られた映像ではなく、地域の交通場面を使用してのトレーニングは参加者に一層の親しみを感じさせ、また日ごろの自分め運転ぶりについてのイメージを明瞭にし、討議の活性化にきわめて有効であった。
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