研究分担者 |
寺杣 友秀 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50192654)
岡本 和夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40011720)
岡本 龍明 NTT, 情報流通プラットフォーム研究所, 主席研究員
高山 信毅 神戸大学, 理学部, 教授 (30188099)
加藤 晃史 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (10211848)
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研究概要 |
研究代表者の主な結果を記す.Mを正標数の代数的閉体k上の主偏極アーベル曲面のモジュライスタック,π:X→Mをその普遍族とする.ν=π_*Ω^2_<X/M>とおけば,これはMのChow群CH^<h-1>_Q(M)の元を与える.自然数hに対し,M^<(h)>={X∈M|heightΦ_X【greater than or equal】h}とおく.x∈Mを(A,D,σ)に対応する点とし,Φ_Aの高さh<∞とするとき,Im H^1(A,Z_h)=7-hが成立し,M^<(h)>のxにおける接空間は{Im H^1(A,Z_h)}∩D^⊥⊂H^1(A,Ω^1_A)と同型であることが示せた.次に,Xをkn次元非特異完備代数多様体,H_<dR>(X)をXのde Rhamコホモロジー群とする.H_<dR>(X)はHodge filtration H_<dR>(X)=F_0⊃F_1⊃【triple bond】⊃F_nを持ち,H_<dR>(X)上にはFrobenius写像Fが作用する.このとき,a(X)=max{i|F^*H_<dR>(X)⊂F_i}によってa-numberを定義する.この数は,アーベル多様体に対してはF. Oortが定義したa-numberと一致することが示せた.Hodge to de Rhamスペクトル列がE_1-levelで退化するときには,F^*は写像H^n(X,O_X)=F_0/F_1→H_<dR>(X)を引き起こす.このとき,a(X)=max{i|F^*H^n(X,O_x)⊂F_i}となり,いろいろな代数多様体に対し計算可能となる.a(X)の具体例の計算とともに,Artin-Mazur形式群の高さhとの関係を解明した.最後に,Xを正標数の代数的閉体k上定義された3次元以上のカラビ・ヤウ多様体とし,H^0(X,Ω^i_X)=0(i=1,2)を仮定する.このとき,自然な準同型写像NS(X)/pNS(X)【cross product】_<F_p>k→H^1(Ω^1_X)⊂H^2_<dR>(X)は単射であることが示せた.また,rigidなカラビ・ヤウ多様体の場合,高さhは1か∞の値しかとれないことも示せた.暗号理論に関しては,岡本龍明が分担して,公開鍵暗号の安全性の証明理論に関する研究を行ない,RSA-OAEPと呼ばれている公開鍵暗号方式の正しい安全性の証明を与えた.
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