研究分担者 |
薩摩 順吉 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70093242)
大木谷 耕司 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (70211787)
岡本 久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40143359)
小林 メイ 日本IBM東京基礎研究所, 副主任研究員
佐々木 文夫 鹿島建設, ITソリューション部, 主査
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研究概要 |
観測データに適合する離散ウェーブレットの構成法,および,適合ウェーブレットの応用のための研究として,適合ウェーブレットの種類の違いによる収束性の差異の検討を中心に行った.対称信号として代表的な非定常信号である地震波形を選び,いくつかの地震と直交/双直交ウェーブレットについてウェーブレット展開の展開係数のエントロピーを評価した.その結果,全般的には,応用上よく用いられるMeyerやDaubechiesの直交ウェーブレットによる展開よりも,展開能率の点で,単純な振動波形をもとに作成した適合ウェーブレットの方が優れていることが見出された.この場合,目標波形は,地震波を扱うことを考慮して概ね一周期の振動波形を採用し,適合双直交ウェーブレットはそれに近い形を実現している.また地震波としては,地盤条件や震源条件の異なる3つの代表的大地震を採用し,それぞれのウェーブレットによる展開を行った.急激な衝撃を伴う地震動と長時間の振動を伴う地震動のいずれにおいても,適合ウェーブレットによる展開はMeyerやDaubechiesの直交ウェーブレットによる展開よりも小さなエントロピーを与えることが見出された.エントロピーの主要部分は,主として地震継続時間によって決定される傾向があるものの,一般に適合ウェーブレットは高い表現能率を与えることが示唆された.その他,ウェーブレットの応用研究として,双対木ウェーブレットによるノイズ分析やリフティングスキームによる双直交ウェーブレット構成法などの検討を行った.
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