研究分担者 |
今井 潤 NTT(株), コミュニケーション科学基礎研究所, 主任研究員
中山 功 名古屋商科大学, 商学部, 教授 (80164359)
代田 典久 SONY(株), インフォーメーション&ネットワーク研究所, 部長
近藤 弘一 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (30314397)
岡崎 龍太郎 同志社大学, 工学部, 専任講師 (20268113)
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研究概要 |
平成13年度は本科研費の援助のもとで,11件の研究発表と研究打ち合わせ国内出張,1件の外国人研究者のレビューのための国内滞在を行った.具体的には,中村研究室主催の「関西可積分系セミナー」を平成13年度は9回,平成13年7月2日〜4日京都大学数理解析研究所で「可積分系研究における双線形化法とその周辺」研究集会を開催した. この研究課題に関連して平成13年度には次の進展があった.中村のグループでは,前年度の離散時間SchurフローによるPerronの連分数のO(N^2)の計算量の連分数展開アルゴリズムの定式化に続いて,Thronの連分数の計算アルゴリズムの開発に取り組んだ.まず,双直交多項式の3項間漸化式をLax表示とする可積分系である相対論戸田方程式に注目し,その可積分な離散化によって離散時間相対論戸田方程式のタウ関数解を見い出した.さらに,このタウ関数解の漸化式を用いて,Thronの連分数をO(N^3)の計算量で計算する連分数展開アルゴリズムを定式化した.従来,Thronの連分数については離散可積分系に基づく算法は知られていなかった.通常のFGアルゴリズムでは分母が零となり計算できない場合でも離散時間相対論戸田方程式の方法で連分数が求められることもわかった. また,中村は,第2種Painleve方程式P_2の解のBacklund変換をLax対の両立条件として表し,さらに,Lax対のひとつを直交多項式の3項間漸化式とみて,直交多項式に関連した連分数の係数がBacklund変換により相互に代数的に結ばれることを示した. 一方,中山は正規分布の裾野の確率を示す誤差関数を精度良く上下限から評価する不等式について研究した.誤差関数の連分数を変形連分数として加速する変形因子を考察し,微差分Burgers方程式の近似解とTaylor展開や変形因子の高階微分に対する不等式などを利用して誤差関数の評価不等式を与えることに成功した.
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