研究分担者 |
今井 潤 NTT(持株会社), コミュニケーション科学基礎研究所, 主任研究員
中山 功 名古屋商科大学, 経営情報学部, 教授 (80164359)
代田 典久 SONY(株), インフォーメーション&ネットワーク研究所, 統括部長
近藤 弘一 同志社大学, 工学部, 専任講師 (30314397)
岡崎 龍太郎 同志社大学, 工学部, 専任講師 (20268113)
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研究概要 |
成15年度は本科研費の援助のもとで以下の成果を得た.前年に,Painleve方程式の特殊解のBacklund変換,すなわち,離散Painleve方程式を用いてAiry関数,ある種の有理関数,Hermite-Weber関数などのLaplaceの積分変換の連分数展開が代数演算のみで与えられることを証明した.これはべき級数で与えられた関数の連分数展開とみることもできる.Painleve方程式PIIの有理関数解の無限遠点での漸近展開はAiry関数の微分係数,すなわち,ガンマ関数のある値で表されるが,上述の離散Painleve方程式を用いた連分数計算の方法でこのガンマ関数値を計算すると,数式処理ソフトウェアMaple7の組み込み関数で同じ値を計算した場合と比べて,計算精度についても計算速度についても,多数桁計算では優れていることが確かめられた.際だった高精度性が特徴である. また,Painleve方程式の特殊解に限らず一般の解析関数のLaplace変換は,従来は,半無限戸田方程式のタウ関数解の導関数を用いて連分数展開されることが知られていたが,離散時間戸田方程式,すなわち,qdアルゴリズムの漸化式による代数演算によっても計算可能であることが証明された. さらに,前年に開始した組合せ論的数のなすHankel行列式の具体的な表示式を可積分系のタウ関数解,直交多項式,連分数によって解析する研究を継続し,Bell数,Euler数,Bernoulli数に加えて,Catalan数,super Catalan数,Motzkin数,Narayama多項式などについてもN次Hankel行列式を書き下すことに成功した.無限戸田方程式のタウ関数の満たす漸化式が証明におけるキーである.
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