研究課題/領域番号 |
12554005
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
大春 慎之助 中央大学, 理工学部, 教授 (40063721)
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研究分担者 |
劔持 信幸 千葉大学, 教育学部, 教授 (00033887)
三村 昌泰 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50068128)
松本 敏隆 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20229561)
高橋 匡康 航空宇宙技術研究所, CFD技術開発センター, 室長(研究職)
小林 良和 新潟大学, 工学部, 教授 (80092691)
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キーワード | 非線形移流拡散系 / 自由境界問題 / 数学モデルの近似可解性 / 数値計算の検証解析 / 数値実験 / 局所的リプシッツ半群 / 非線形発展方程式 / 複雑移流反応拡散現象 |
研究概要 |
本年度の研究では、環境流体のように様々な力が作用し均質でない流体における非線形移流拡散現象を記述する移流反応拡散系、非線形波の相互作用と運動を特徴付ける圧縮性並びに非圧縮性流体の数学モデル、移流反応拡散系に対する自由境界問題、ヒステリシスを含む相転移現象を記述する移流拡散系の研究に焦点を置いた。これらの問題に対して理論解析と数値解析の両面から基礎理論としての近似可解性理論を進めると共に、海洋微生物の生態系、細胞増殖、筋収縮、骨改造現象の数学モデルについて関連分野の専門家から知識の提供を受けつつ検討を加えた。これらのモデルの近似可解性を保証する理論の高度化を図り、数値実験を行って数値計算の検証解析の研究を行った。 1.様々な非線形現象の数理モデルの可解性を組織的に検討するために非線形発展方程式に応じる局所的リプシッツ半群の生成理論を進め、新しい形の生成定理、特徴付け定理、近似定理を得た。これらの結果を非線形波の干渉モデルや細胞増殖モデルに応用することを試みて新しい知見を得た。 2.沿岸海洋におけるプランクトンの生態系を表す新しい数学モデルを与え、その可解性について検討し、数値実験を行った。計算結果を検証すると共に、観測データと比較して実際の現象に適合する結果を得た。 3.骨改造現象を記述する数理モデルを与え、その可解性と数値計算の信頼性について検討した。数値実験の結果は医学的知見に適合し、生命現象への数理的接近に関する1つの新しい方向を与えるものとなった。2001年6月に国際会議で発表し、ここでの評価と注意を基にし、現在並列計算の手法を用いて3次元の解析を進めている。 4.混相流体における複雑移流拡散現象の典型例として、海水中を前進する垂直円柱周りの流れの数値実験を行い、多数の渦が発生・干渉する状況を可視化した。現在、このモデルの理論的解析を進め、数値計算の検証解析を進めている。 5.出生率、死亡率、離婚率に加えて結婚関数を含む両性人口モデルを組織的に扱うための半線形発展方程式の理論を構築し、数値計算を行って人口統計データに適合する結果を得た。
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