研究課題/領域番号 |
12554011
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
巨海 玄道 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00111146)
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研究分担者 |
大橋 政司 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (10336000)
加賀山 朋子 熊本大学, 工学部, 助教授 (40274675)
西田 稔 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (90183540)
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キーワード | マルテンサイト変態 / 高圧装置 / 電子物性 / 超伝導 |
研究概要 |
今年度の成果は以下のようにまとめられる。 1)高圧下におけるグラニュラー物質Co-Al-Oのトンネル型磁気抵抗効果 本研究で開発した高圧装置を用いてCo-Al-Oの磁気抵抗や電気抵抗の圧力効果を測定した。電気抵抗は圧力をかけると減少し、トンネル型電気伝導が圧力をかけるにつれて強調されることを示した。これらの結果をクーロンブロッケイドとトンネル効果の競合の結果であると結論した。更に本研究では高圧下で磁気抵抗を測定することにより、ヘリウム温度ではその大きさがエンハンスされるが窒素温度以上では逆に小さくなることを明らかにした。この結果は高次のトンネル効果を用いて定性的に説明されることがわかった。これらの成果はPhysical Review Bに投稿している。 2)インバー合金Fe-Ni-Ptにおけるマルテンサイト変態と磁気転移の高圧下における競合 これらの3元系合金においてはマルテンサイト変態と強磁性転移が共存し、高圧下で2つの転移はいずれも下がることが予測されている。本研究においてはこのことを確かめるために高圧下でこれら2つの転移温度を測定した。その結果、マルテンサイト変態は磁気変態温度よりも圧力係数が小さいため数万気圧でこれらが逆転することを見いだした。これらは2次転移と1次転移が高圧下である圧力以上では逆転することを示しており、相転移論的観点から興味が持たれる。 3)CeRh_2Si_2における圧力誘起量子相転移 CeRh_2Si_2は正方晶の反強磁性体であるが、この磁気転移温度は圧力の引加により減少し、1.0GPa程度の低い圧力で消失することが知られている。この近傍では量子相転移が存在していると考えられる。我々はこの系において臨界圧力近傍の電子状態を調べるため、高圧下の電気抵抗率および格子定数の圧力変化を測定した。電気抵抗率の温度依存性からフェルミ面の状態密度が見積もられ、それが臨界圧力近傍で極大を持つことを見いだした。この異常が圧力誘起超伝導に深く関わっているものと思われる。
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