2001 年度実績報告書

自由空間中に生成したクラスターのX線吸収分光測定装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号	12554013
研究機関	京都大学
研究代表者	八尾誠京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70182293)
研究分担者	石井真史高輝度光科学センター, 放射光研究所, 研究員 (90281667) 永谷清信京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30273436)
キーワード	クラスター / X線吸収分光 / 脱励起過程 / サイズ選別
研究概要	平成13年度は、凝集力の小さな希ガスを含む様々な物質でクラスター実験を行うため、液体窒素冷却型の超音速ジェット法を用いたクラスター源を設計・製作し、性能試験を行った。作成したクラスター源はコールドヘッド先端部にガス噴出用のノズルを取り付けた形状をしており、コールドヘッド内に冷媒を循環させることで試料ガスの冷却を行う。超音速ジェット法では生成するクラスターのサイズ分布は、主に試料ガスの温度と圧力に依存しており、特に凝集力の小さな希ガスのクラスターを作成する場合には液体窒素温度近くまでの冷却と、試料温度の安定が必要である。作成した装置で冷媒に液体窒素を用いた場合、試料ガスを液体窒素の沸点温度近くまで冷却可能である。また、コールドヘッド部に取り付けたヒーターを用いて温度制御を行うことで、ノズル部分の温度を約80Kから常温までの広い温度範囲で高い温度安定性が実現できた。平成12年度に作成したクラスター作成装置とこのクラスター源を用い、希ガスのアルゴンやクリプトンを試料として予備実験を行った。一例として、温度90K、圧力1気圧の生成条件では、Ar_<20>までのクラスターが生成しており、装置が設計通りのクラスター作成能力を持つことが確認できた。高輝度光科学センターのSPring8において行ったEXAFS-PEPICOシンクロナス測定によって得られたセレンクラスター子イオンの部分イオン収量(PIY)スペクトルを用い、我々が提案しているクラスターのサイズ選別EXAFS法の検証を行った。得られたPIYスペクトルは、それぞれがEXAFS振動を持つとともに、親クラスターにおけるX線吸収後の脱励起過程の違いを反映し、価数によってその振動スペクトルに違いが見られた。予備実験で測定した質量スペクトルに基づき、クラスタービームがSe_2と、主に5量体から構成される"Se_5"からなるという簡単なモデルを用いて解析を行い、Se_2クラスター、" Se_5"クラスターそれぞれの構造パラメータを求めたところ、これまでの様々な状態のセレンで知られている構造パラメータと矛盾のない値が得られた。このことは我々の提案するクラスターの構造解析法が有効であることを支持していると考えられる。

研究成果
(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] Kiyonobu, Nagaya et al.: "Photoelectron spectroscopy of small tellurium clusters"Journal Non-cryst. Solids.. (印刷中). (2002)
[文献書誌] Makoto Yao et al.: "A new method for the size-selective EXAFS of neutral clusters"Journal of Synchrotron Radiation. 8. 542-544 (2001)
[文献書誌] Tetsuichiro Hayakawa et al.: "Photoelectron Photoion Coincidence Measurements of Selenium Cluster Beam II. Photon Energy Dependence"Journal of the Physical Society of Japan. 69. 2850-2858 (2000)
[文献書誌] Tetsuichiro Hayakawa et al.: "Photoelectron Photoion Coincidence Measurements of Selenium Cluster Beam I. Evidence for the Coulomb Expansion"Journal of the Physical Society of Japan. 69. 2039-2048 (2000)
[文献書誌] Makoto Yao et al.: "Anomalous Sound Attenuation in Liquid Te50Se50 Mixture under High Pressure :"J. Phys. Condensed Matter. 12. 7323-7339 (2000)
[文献書誌] Ayano Chiba, Makoto Yao et al.: "Quasielastic Neutron Scattering of Liquid Te50Se50 in the Semiconductor-to-Metal Transition Range,"Journal of the Physical Society of Japan. 71-2(印刷中). (2002)
[文献書誌] 八尾誠: "新しいクラスターの科学第8章"講談社(印刷中). (2002)

2001 年度 実績報告書

自由空間中に生成したクラスターのX線吸収分光測定装置の開発

研究代表者

八尾 誠 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70182293)

研究成果

[文献書誌] Kiyonobu, Nagaya et al.: "Photoelectron spectroscopy of small tellurium clusters"Journal Non-cryst. Solids.. (印刷中). (2002)

[文献書誌] Makoto Yao et al.: "A new method for the size-selective EXAFS of neutral clusters"Journal of Synchrotron Radiation. 8. 542-544 (2001)

[文献書誌] Tetsuichiro Hayakawa et al.: "Photoelectron Photoion Coincidence Measurements of Selenium Cluster Beam II. Photon Energy Dependence"Journal of the Physical Society of Japan. 69. 2850-2858 (2000)

[文献書誌] Tetsuichiro Hayakawa et al.: "Photoelectron Photoion Coincidence Measurements of Selenium Cluster Beam I. Evidence for the Coulomb Expansion"Journal of the Physical Society of Japan. 69. 2039-2048 (2000)

[文献書誌] Makoto Yao et al.: "Anomalous Sound Attenuation in Liquid Te50Se50 Mixture under High Pressure :"J. Phys. Condensed Matter. 12. 7323-7339 (2000)

[文献書誌] Ayano Chiba, Makoto Yao et al.: "Quasielastic Neutron Scattering of Liquid Te50Se50 in the Semiconductor-to-Metal Transition Range,"Journal of the Physical Society of Japan. 71-2(印刷中). (2002)

[文献書誌] 八尾 誠: "新しいクラスターの科学 第8章"講談社(印刷中). (2002)

2001 年度実績報告書

八尾誠京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70182293)

[文献書誌] 八尾誠: "新しいクラスターの科学第8章"講談社(印刷中). (2002)