研究課題/領域番号 |
12554013
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
八尾 誠 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70182293)
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研究分担者 |
石井 真史 高輝度光科学センター, 放射光研究所, 研究員 (90281667)
永谷 清信 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30273436)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | クラスター / X線吸収分光 / 脱励起過程 / サイズ選別 |
研究概要 |
本研究では、希ガスのような凝集力の小さな物質を含む様々な元素のクラスターで、X線吸収分光を行うことができる装置の開発を行った。大排気速度を持つターボポンプを用いて真空排気を行うとともに、装置の形状を工夫することで、大強度のクラスタービームに必要な高い真空排気能力を有し、X線源である放射光施設の限られたスペースで実験が可能な装置を実現した。これに加えて、希ガスの様な、凝集力の小さい物質を含む様々な元素のクラスターの実験を行うため、液体窒素冷却と超音速ジェット法を用いたクラスター源を開発した。開発したクラスター作成装置と、クラスター源を用い、希ガスのアルゴンやクリプトンを試料に用いて性能試験を行った。一例として、温度90K、圧力1気圧の生成条件では、Ar_<20>までのクラスターの生成してを確認した。これによって装置が設計通りのクラスター作成能力を持つことが確認できた。 高輝度光科学センターのSPring8において、既存の小型の装置を用いて、X線の光学系とクラスター検出系を同期させて測定を行うための計測系の開発を行った。EXAFS-PEPICOシンクロナス測定によってEXAFS領域に及ぶ広いエネルギー範囲でクラスターのX線吸収とそれに伴う脱励起過程に関する情報が得られた。全イオン収量によって得られたX線吸収係数には明瞭なEXAFS振動が観測されており、これは硬X線領域でクラスターのEXAFS振動を観測したはじめての例である。さらに得られたセレンクラスター子イオンの部分イオン収量(PIY)スペクトルを用い、我々が提案しているクラスターのサイズ選別EXAFS法の検証を行った。得られたPIYスペクトルは、それぞれがEXAFS振動を持つとともに、親クラスターにおけるX線吸収後の脱励起過程の違いを反映し、価数によってその振動スペクトルに違いが見られた。予備実験で測定した質量スペクトルに基づき、クラスタービームがSe_2と、主に5量体から構成される"Se_5"からなるという簡単なモデルを用いて解析を行い、Se_2クラスター、"Se_5"クラスターそれぞれの構造パラメータを求めたところ、これまでの様々な状態のセレンで知られている構造パラメータと矛盾のない値が得られた。このことは我々の提案するクラスターの構造解析法が有効であることを支持していると考えられる。
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