研究分担者 |
清水 久芳 東京大学, 地震研究所, 助手 (70302619)
上嶋 誠 東京大学, 地震研究所, 助教授 (70242154)
鍵山 恒臣 東京大学, 地震研究所, 助教授 (50126025)
山本 哲也 気象庁, 気象研究所, 主任研究官
神田 径 京都大学, 防災研究所, 助手 (00301755)
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研究概要 |
本研究は3年計画で,活動的火山において時々刻々変化する山体内部の物理状態を,電気伝導度をパラメータとしてモニターする専用観測システム(我々はこれを<ACTIVE>と呼ぶ)を開発すること目的としている.今年度は,前年度までに開発した信号送信機および受信機を用いて連続観測を開始するとともに,データ解析を行い火口直下の状態の常時イメージングの手段を確立した. 電流送信機は,前年度の試験観測で用いたものと同様,伊豆大島火山三原山火口の南東約1kmのカルデラ底に設置した.受信装置は,三原山火口の周辺5ケ所に設置した. 連続モードでの測定は2002年8月から開始した.途中装置の故障による中断が1度あっただけで,連続的に稼動している.測定は,2日に1度,深夜2時から1時間行うことにした.送信電流は0.8アンペアである.送信電流および5ケ所の受信点における受信電圧は,1024ヘルツでサンプリングして,PCメモリーカードに記録する.1枚のカードに約2ヶ月分のデータが記録される. 2ケ月に1度,カードを回収し,時系列データを重み付きスタッキング法で処理し,周波数解析を行い,周波数応答の時系列(地下の比抵抗構造時間変化の情報を含む)を求めた.また,これら周波数応答の時間変化を地下比抵抗の時間変化にイメージングするプログラムを開発した. 以上により,本研究計画はほぼ当初の目的を達成することができた.現在の伊豆大島の活動は極めて低いレベルに落ち着いているため,測定される比抵抗構造に有意な時間変化は得られなかった.一方,1986年の山頂噴火の前に直流法で観測されたみかけ比抵抗変化を再解析し,火道内のマグマの移動が捕らえられていたことを明らかにした.この結果を用いて,本研究で開発したシステムで予想される変化量を数値計算により見積ったところ,明瞭なイメージングが可能であることが示された.
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