研究課題
平成14年度は素子の設計・作製と評価実験を行った。理化学研究所内の超伝導接合素子(STJ)作製専用プロセスラインを用いて極端紫外線に用いることのできるピクセルアレイ型STJの作製を行った。まず、サファイヤ基板の上にAl_2O_3をスパッタ法で成膜し、その上にNb/Al/AlOx/Al/Nbといった膜をスパッタ法で積層してSTJ素子を作製した。特に、STJの側面を酸素プラズマで酸化する方法を新たに開発することによって、トンネル障壁における漏れ電流を劇的に減少させることができた。また、Alの膜厚を増加させることで、出力信号の増幅が行えるようになった。これらの素子をHe^3クライオスタットを用いて0.35Kまで冷却し、高エネルギー加速器研究機構のフォトンファクトリーで照射実験を行い、STJ単素子で極端紫外線(47eV)の検出に成功した。55eVの光子に対して、18eV(FWHM)の分解能を達成した。また、多チャンネル読み出しに関しては、X線の領域であるが4チャンネルまで成功した。EUVでの多チャンネル読み出しにおいては、複数のチャンネルへの電気的接続によるノイズの増加の影響が大きいが、信号検出は成功した。分解能に関しては、解析中である。本研究の目標である極端紫外線を2次元アレイSTJ検出器で検出することは、ほぼ達成した。しかしながら、さらなる多チャンネル化、高分光能力を達成するためには、いくつかの課題が残った。多チャンネル化に関しては、読み出し回路系の低ノイズ化等の改善もしくは、読み出し系の超伝導回路化が必要である。高分光能力には、ギャップエネルギーの低い、すなわち生成電子の大きい、材質(Taなど)に変更する必要がある。
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