研究課題/領域番号 |
12554026
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
篠原 久典 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50132725)
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研究分担者 |
三川 雅人 日本シューリング株式会社, 基礎部, 主任研究員
岡崎 俊也 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90314054)
菅井 俊樹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助手 (50262845)
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キーワード | 金属内包フラーレン / 水溶性 / MRI / ガドリニウム / フラーレン / 磁気共嗚画像診断 / ディスプロシウム / 造影剤 |
研究概要 |
水溶性金属内包フラーレンを用いた、全く新しいタイプの磁気共鳴画像診断造影剤を開発し、実用化することが研究目的である。特に、水溶性のガドリニウム(Gd)およびデイスプロシュウム(Dy)金属内包フラーレンの生体系(マウス、ラット等)での磁気緩和能の系統的測定を行い、新規のMRI造影剤としての有用性・実用の可能性を探索することを目的とする。 金属内包フラーレンでは金属原子が炭素ケージにプロテクトされているため、生体系の安定トレーサーとしての応用の可能性が議論されてきた。研究代表者の研究グループでは金属内包フラーレンの生体系トレーサー・診断剤への応用を目指して、水に可溶な金属内包フラーレン(水溶性金属内包フラーレン)の合成に取り組み、いくつかの水溶性金属内包フラーレンの生成・合成に成功した。 本研究グループは、水溶性金属内包フラーレンのMRI造影剤への応用の可能性を共同で検討してきた。その結果、ガドリニウム(Gd)金属原子を内包したガドリニウム内包フラーレンの水酸化物、Gd@C82(OH)nおよびGd2@C80(OH)n,は純水への溶解度が非常に高く(ca.30mg/cm3),ファントム実験では市販の造影剤(例えば、Gd-DTPA)の10倍以上のR1緩和能(ca.40L/mmol/sec)を示した。この結果は、名古屋大学と日本シェーリング(株)の共同で現在、特許出願中である。本研究は、従来のキレート型のMRI造影剤ではない、フラーレンを骨格とした非常に独創的な、かつ優れた磁気共鳴画像診断造影剤として、ブレーク・スルー的な研究になると確信する。
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