研究概要 |
12年度の科研費により日本電子製の電子顕微鏡(SEM,JSM-5500)を購入した。これは最も単純なSEMであるので、これに現有のエネルギー分散型X線検出器EDXを取り付けることとした。斜出射X線測定を行うためには出射角度と変える必要がある。これまでの予備実験では電子源とEDXを固定したままで試料ホルダーを傾斜させることで出射角を変えていた。しかし、試料ホルダーを傾斜させる際に電子ビームが試料を照射する位置が移動するため、微小領域の分析に応用できなかった。そこで、今回の試作品ではEDX自身を上下に動かす方式を考えた。つまり、EDXをフレシキブル管でESM本体に接続し、かつ、上下に動かすためにZ-ステージにEDXを取り付けた。Z-ステージはステッピングモーターで駆動でき、X線エネルギー分析と角度制御をパソコンで制御できるようにシステムを構築した。その後、検出限界、連続X線バックグラウンド、分析深さなど基本的な分析特性を評価し、総説を含む数編の論文として報告した。本年度後半は、この斜出射EPMA装置を用いて薄膜分析、表面分析、微粒子分析などに応用した。その結果、斜出射EPMA法は局所-表面分析に有効であることが明らかとなった。これらの結果は論文として報告するとともに、ブラジル(Sao Pedro,19-24,Nov.2000)で開催されたラテンアメリカX線分析セミナーにおいて招待基調講演において発表した。
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