電場印加型固体NMRプローブの開発

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12554031
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 北川 進 京都大学, 工学研究科, 教授 (20140303)
• 研究分担者: 近藤 満 京都大学, 工学研究科, 助手 (80254142)
• キーワード: 電場印可 / 固体プローブ / 強誘電性 / 多孔性錯体 / 配位高分子

研究概要

特に、電場を検出器内で試料に印可した状態で磁気共鳴を観測することは、電極と照射・観測コイルの共存による、1)磁場の不均一性の増大による分解能の低下、2)検出器部位の過密による精度の低下、3)電極による検出の妨害、など数々の困難が考えられる。プローブの設計の第一段階として、試料容器の形状であった。そこで、a)平板状の容器、b)クロスポラリゼーショシを行う。c)回転はさせない。という設定で設計し、試作した。現在、上記1)〜3)の諸問題について調整を進めている。
観測試料についても合成を進めた。本年度は特に、ミクロ孔を有する錯体集合体固体の電場制御細孔機能の創製を目的として、配位高分子によるミクロ固体の合成を行った。
以下の新しい系が合成された。(1)3次元配位結合による安定なミクロ孔錯体、[Cu(SiF_6)(4,4'-bipyridine)_2]n、(2)アゾピリジンを用いる相互貫入骨格を持つミクロ孔錯体、(3)3次元構造を持つ、[Cu2(sal)2(pyz)(MeOH)2]n、(4)ポルフィリンを骨格とするミクロ孔錯体、(5)クロラニレートを用いるミクロ孔錯体等である。これらの幾つかは極めて安定な骨格を持ち、室温でメタンガスを吸蔵することが明らかとなった。これらの骨格を出発として、電場に応答する分子モジュールの組み込みを行う段階に至ったと言える。

研究成果

• [文献書誌] Shin-ichiro Noro 他3名: "New Methane Adsorbent of Porous Coordination Polymer,[Cu(SiF6)(4,4'-bipyridine)2]n"Angew.Che,Int.Ed.Engl.. 39. 2081-2084 (2000)
• [文献書誌] Mitsuru Kondo 他6名: "Microporous Materials Constructed from the Interpenetrated Coordination Networks.Structures and Methane Adsorption Properties"Chem.Mater.. 12. 1288-1299 (2000)
• [文献書誌] Z.Lomgguan 他3名: "Synthesis and crystal structure of new salicykate-bridged coordination polymer,[Cu2(sal)2(pyz)(MeOH)2]n"Chem.Lett. 536-537 (2000)
• [文献書誌] Mitsuru Kondo 他3名: "A New Self-Assembled Porphyrin-Silver (I) Network"Chem.Lett.. 818-819 (2000)
• [文献書誌] S.Kawata 他3名: "Novel Layered Structures Constructed from Metal (II)-Chloranilate Monomer Compounds"J.Chem.Soc.Dalton Trans.. 2409-2417 (2000)
• [文献書誌] Mitsuru Kondo 他5名: "Synthesis and structures of coordination polymers with 4,4'-dipyridyldisulfide"J.Solid State.Chem.. 152. 113-119 (2000)