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2001 年度 実績報告書

遺伝子欠損細胞株を用いた突然変異原性の検出と評価法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 12554035
研究機関福岡歯科大学

研究代表者

関口 睦夫  福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00037342)

研究分担者 下川 英俊  福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (50122792)
伊東 理世子  福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (10140865)
高木 康光  福岡歯科大学, 歯学部, 助教授 (20212003)
キーワードDNA修復酵素 / O^6-メチルグアニン / 発ガン / 突然変異 / 細胞株 / 遺伝子欠損 / 抗がん剤 / マウス
研究概要

突然変異や発がんの抑制にはDNA修復に加えてアポトーシスが重要な役割を果していることが、これらの過程に異常を持っ遺伝子欠損マウスを用いた解析から明かとなった。そのようなマウスから樹立した細胞株は、発がんの抑制の機構を分子レベルで明らかにする上で重要であるが、発がんと突然変異の関連性に基いて化学物質の発がん性を検討する上でも有用と考えられる。実際Mgmt^<-/->細胞株はMNUやMNNGのような単純アルキル化剤の致死効果と突然変異誘起効果に対してきわめて高い感受性を示す。抗がん剤ダカルバジンの作用発現にはチトクロームp450による活性化が必要であるが、Mgmt^<-/->細胞株を細胞抽出液存在下にダカルバジンを作用させると高感受性を示すことがわかった。Mgmt^<-/->欠損に加えてミスマッチ塩基の認識に関わる遺伝子のMlh1を欠損させたMgmt^<-/->Mlh1^<-/->細胞株は、MNUやダカルバジンの突然変異誘起作用には高感受性を示すが致死作用には抵抗性となることがわかった。この効果はMgmt^<-/->Mlh1^<-/->マウスがアルキル化剤の致死作用には抵抗性を示すがよく発がんするという我々が先に得た動物レベルの結果とよく一致しており、細胞株を用いて簡便な検査法によって動物実験の結果を予測したり、さらにそれに置き換えることが可能なことを示している。なおこの実験においてMlh1^<-/->株では自然突然変異率や自然発がんの頻度も野生型に比べて若干上昇するという結果が得られたが、この問題はMlh1遺伝子の欠損をヘテロにすることによって克服できることが明かとなった。すなわちMgmt^<-/->Mlh1^<+/->マウスでは自然発がんの頻度は野生型マウスとほぼ同じレベルの低い値であり、またそれから分離した細胞株では野生型株と同じく自然突然変異率はきわめて低い値であった。このようなマウスや細胞株はアルキル化剤の変異誘起作用に特異的に高感受性を示すので、化学物質の発がんや突然変異誘起作用を検出する上できわめて有用と考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Tsuzuki, T.: "Spontaneous tumorigenesis in mice defective in the MTH1 gene encoding 8-oxo-dGTPase"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 98. 1456-11461 (2001)

  • [文献書誌] Liang, R.: "Presence of potential nickl-responsive element(s) in the mouse MTH1 promoter"Ann.Clin.Lab.Sci. 31. 91-98 (2001)

  • [文献書誌] Ishikawa, T.: "Importance of DNA repair in carcinogenesis : evidence from transgenic and gene targeting studies"Mutat.Res. 474. 41-49 (2001)

  • [文献書誌] Matsukura, S.: "Expression and prognostic significance of O^6-methylguanine-DNA methyltransferase in hepatocelluar, gastric, and breast cancers"Ann.Surg.Onc. 8. 807-816 (2001)

  • [文献書誌] Kohya, N.: "Deficient expression of O^6-mehylguanine-DNA methyltransferase (MGMT) combined with mismatch repair protein hMLH1 and hMSH2 are related to poor prognosis in human biliary tract carcinoma"Ann.Surg.Onc. (in press).

  • [文献書誌] Takahashi, M.: "Role of tryptophan residues in the recognition of mutagenic oxidized nucleotides by human antimutator MTH1 protein"J.Mol.Biol.. (in press).

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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