分子系統学のためのソフトウエアの開発

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12554037
• 研究機関: 統計数理研究所
• 研究代表者: 長谷川 政美 統計数理研究所, 予測制御研究系・予測理論研究部門, 教授 (60011657)
• 研究分担者: 岸野 洋久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科・生産環境生物学専攻, 教授 (00141987) ; 下平 英寿 統計数理研究所, 予測制御研究系, 助手 (00290867) ; 橋本 哲男 統計数理研究所, 調査実験解析研究系, 助教授 (50208451) ; 足立 淳 理化学研究所, ゲノム科学総合研究センター, 研究員 ; 後藤 修 産業技術総合研究所, 生命情報科学研究センター, 研究チーム長 (40142111)
• キーワード: 分子系統樹推定法 / 最尤法 / 多重比較 / 分子進化速度 / 階層モデル / 共進化 / 集団サイズ / 遺伝子構造予測

研究概要

1.これまでに開発してきた最尤法による分子系統樹推定法を、哺乳類進化の問題に適用し、方法の問題点を洗い出した。
2.分子系統樹の信頼集合を多重比較法によって求める方法を開発し、それを実装したプログラムを公開した。
3.分子進化速度の階層モデルを複数遺伝子用に拡張し、速度変化の相関から共進化を検出する方法を開発した。
4.ウイルスの宿主適応過程を精度良く推定するための有効な配列抽出法を検討し、HIV-1 env遺伝子における進化速度と集団サイズの関係を公開されているデータから推定した。
5.遺伝子の得失モデルを考案することにより、phylogenetic profileの定量的解析手法を検討した。
6.転写産物(EST, cDNA)配列とゲノムDNA配列との比較から、スプライス部位を正確に決定するプログラムを開発し、全ゲノム配列が解読された4生物種について、それぞれ2〜14万のイントロン挿入部位を同定した。各生物種に固有な統計情報を用いることとアルゴリズムの拡張により、エクソンレベルで4〜5%、遺伝子レベルでは10%以上、遺伝子構造予測の精度を高めることができた。

研究成果

• [文献書誌] M.Nikaido, F.Matsuno, H.Hamilton, R.L.Brownell Jr., Y.Cao, D.Wang, Z.Zhu, A.M.Shedlock, R.E.Fordyce, M.Hasegawa, N.Okada: "Retroposon analysis of major ceatcean lineages : The monophyly of toothed whales and the paraphyly of river dolpohins"Proceedings of Academy of Scie nce, USA. 98. 7384-7389 (2001)
• [文献書誌] M.Nikaido, K.Kawai, Y.Cao, M.Harada, S.Tomita, N.Okada, M.Hasegawa: "Maximum likelihood analysis of the complete mitochondrial genomes of eutherians and a reevaluation of the phylogeny of bats and insectivores"Journal of Molecular Evolution. 53. 508-516 (2001)
• [文献書誌] H.Shimodaira, M.Hasegawa: "CONSEL : a program for assessing the confidence of phylogenetic tree selection"Bioinformatics. 17. 1246-1247 (2001)
• [文献書誌] T.K.Seo, J.L.Thorne, M.Hasegawa, H.Kishino: "A viral sampling design for testing the molecular clock and for estimating evolutionary rates and divergence times"Bioinformatics. 18. 115-123 (2002)
• [文献書誌] T.-K.Seo, J.L.Thorne, M.Hasegawa, H.Kishino: "Estimation of effective population size of HIV 1 within a host : A pseudo-maximum likelihood approach"Genetics. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] J.L.Thorne, H.Kshino: "Divergence time and evolutionary rate estimation with multilocus data"Systematic Biology. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] H.Shimodaira: "Approximately unbiased test of phylogenetic tree selection"Systematic Biology. (印刷中). (2002)
• [文献書誌] 後藤修: "配列のホモロジーと統計情報を併用した真核生物遺伝子構造の予測"統計数理. (印刷中). (2002)