研究分担者 |
安河内 朗 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (20136568)
田中 正敏 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90112721)
前田 享史 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90301407)
小林 宏光 石川県立看護大学, 看護学部, 助教授 (20225535)
綿貫 茂喜 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (00158677)
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研究概要 |
本研究では,現代生活者において,運動能力の向上にともなう寒冷時の体温調節反応の比較を行った.また、暖房等の使用状況と衣服重量の居住地域による違いについて、弘前、福島、東京、福岡の4地区において、アンケート調査を行った。 1.寒冷曝露実験とトレーニングの効果-体温調節機能に及ぼす影響- 男性8名を対象とした寒冷曝露実験(室温:10,15,28℃、相対湿度:約50%)の結果、身体的トレーニング前後での寒冷曝露時の体温調節反応が異なった.それは,直腸温の変化にあらわれ,トレーニング前では90分間の10℃曝露で0.2℃の直腸温の低下が見られたが,トレーニング後では直腸温の低下は見られなかった. 2.寒冷曝露実験とトレーニングの効果-自律神経機能に及ぼす影響- 心拍変動性の結果から、寒冷刺激によって交感神経活動が亢進したことが考えられた。また、圧受容体反射感受性が10℃曝露で有意に増加した。これは、寒冷刺激による圧受容体反射機能の変化を示唆するものであり、体温調節反応である皮膚血管収縮反応を反映したものと考えられた。つまり寒冷時の体温調節反応と循環応答、さらにはその血液循環を支配する自律神経機能の応答は密接に関連した結果を示した。 3.全身寒冷曝露時の末梢血管運動と持久的運動能力について 血管幅と手背部皮膚温との間に正の相関関係が認められ、血管幅も寒冷時の体温調節反応を評価するうえで、重要な指標となることが示唆された。また、血管幅の変化と持久的運動能力の間には、関連がある可能性が示唆された。 4.現代生活者における冷暖房使用状況の地域差について 冬季の暖房の使用時間は、福岡、東京に比べて東北地区(弘前、福島)で有意に長く、着衣している衣服の重量も、地域によって異なる結果を示した。外気温や暖房の設定温度と衣服重量の関係は導き出せなかったが、寒冷に対する身体の適応状況も考慮して考える必要があることが示唆された。
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