電子-イオン・コインシデンス分光法は、表面にX線を照射して、光電子あるいはオージェ電子をエネルギー分析して測定するとともに、電子と同時に脱離するイオンを質量分析して検出する手法であり、 1.表面水素を検出でき、水素が結合している原子を特定できる、 2.表面の組成と化学的状態を高感度非破壊で分析できる、 3.操作性が高く、初心者でも扱える、 など、表面分析法として優れた特性を持っている。本研究の目的は電子-イオン・コインシデンス分光法を利用した新しい表面分析装置を製作し、半導体素子や高分子、触媒などの表面に応用して、関連する諸工学に貢献することである。本年度の成果は、 1.Kai Siegbahnらの提唱した高感度高分解能電子エネルギーアナライザーを採用した電子-イオン・コインシデンス分光器を製作し、性能評価を行なった。E/ΔE=160の分解能が得られた。従来の分解能の約1.5倍である。 2.電子エネルギー分析器に内蔵する直径φ26mmのコンパクトな飛行時間型イオン質量分析器を開発した。 3.分析器の位置微調整機構のついたICF203支持フランジを開発した。 4.コインシデンス分光専用の超高真空装置を立ち上げた。 の4点である。今後は各部品を改良してコインシデンスアナライザーを完成し、性能評価を行なうとともに応用研究を遂行する予定である。
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