次世代波長多重光通信のための集積非線形光学疑似位相整合波長変換デバイスの研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12555012
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 西原 浩 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00029018)
• 研究分担者: 藤村 昌寿 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80263218) ; 栖原 敏明 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90116054)
• キーワード: 光通信 / 波長多重 / 非線形光学 / 疑似位相整合 / 光導波路 / 光波長変換 / 光集積回路 / 差周波発生

研究概要

次世代光通信のための非線形光学擬似位相整合波長変換デバイスの設計・作製・評価の研究を行った。本年度に得られた成果は以下のように要約される。
1.次世代波長多重(WDM)光通信への応用の観点からLiNbO_3導波路擬似位相整合(QPM)差周波発生(DFG)型波長変換デバイスの理論解析を行い、変換効率・信号光波長帯域・励起光波長帯域のデバイスパラメータ依存性に関するデータを収集して設計指針を得るとともに、多波長一括変換時のクロストークなどの動作特性を明らかにした。
2.QPM用周期的分極反転構造形成技術の改善を行った。自動制御パルス電圧印加装置と液体周期電極を用いて、DFGデバイス用の周期15-20μmの構造を20×30mm^2以上の大面積にわたって形成する技術を確立した。また高アスペクト比液体電極を用いて周期0.5μmまでの極微細周期構造の形成を初めて可能にした。
3.QPM-DFGデバイスの設計・作製を行った。高効率化を目指して設計したデバイス長30mmのデバイスで、波長変換機能を実証するとともに150%/W以上の規格化変換効率を達成した。
4.光ファイバ通信系での実用に要求される偏波無依存波長変換デバイスとしてDFGデバイスを2区間に分割してTE-TMモード変換素子を挿入する構成法を提案し、理論特性を明らかにした。
5.偏波無依存波長変換デバイスに要求されるTE/TM両モード導波路としてZn:LiNbO_2導波路を取り上げ、ZnO膜を低圧雰囲気中で拡散する方法、および金属Zn/Crを低圧雰囲気中で拡散する方法の2つの新たな作製法を見出し、損失1dB/cm程度の良好な導波路を作製する方法を開発した。
6.上記Zn:LiNbO_3導波路を用いて波長選択TE-TMモード変換素子を形成し、動作を確認した。またZn:LiNbO_3導波路を用いてプロトタイプの波長変換デバイスを作製し、良好な予備的実験結果を得た。

研究成果

• [文献書誌] 藤村昌寿,栖原敏明: "強誘電体擬似位相整合非線形光学デバイスの新展開"応用物理. Vol.69,No.5. 539-542 (2000)
• [文献書誌] T.Suhara,T.Fujieda,M.Fujimura H.Nishihara: "Fabrication of Zn-LiNbO_3 waveguides by diffusing Z_nO in low-pressure atmosphere"Jpn.J.Appl.Phys.. Vol.39,No.8B. L864-L865 (2000)
• [文献書誌] 栖原敏明: "擬似位相整合非線形光学波長変換・スイッチングデバイス"Microoptics News. Vol.18,No.3. 19-26 (2000)
• [文献書誌] M.Fujimura,T.Kodama,T.Suhara H.Nishihara: "Quasi-phase-matched Self-Frequency doubling Waveguide laser in NdiLiNbO_3"IEEE Photon,Tech.Lett.. Vol.12,No.11. 1513-1515 (2000)
• [文献書誌] 石月秀貴,栖原敏明,西原浩: "LiNbO_3導波路非線形光学デバイスにおける超短パルス波長変換特性の解析"電子情報通信学会 論文誌. Vol.J84C(掲載予定). (2001)
• [文献書誌] H.Ishizuki,T.Suhara,M.Fujimura H.Nishihara: "Wavelength conversion type picosecond optical switching using a waveguide QPM SHG/DFG device"Opt.Quantum Electron. (掲載予定). (2001)
• [文献書誌] 栖原敏明 ほか: "光技術動向調査報告書XVI第1章「光材料・デバイス」"(財)光産業技術振興協会(分担分). 1-102 (2000)
• [文献書誌] 栖原敏明: "新しいフォトニクス時代の材料とデバイス第I部第3章第2節「光集積回路の現状と将来展望」"ティー・アイ・シー(分担分). 62-69 (2000)