将来の光通信のための導波型非線形光学波長変換デバイスおよびその超高速光信号処理への応用に関して、理論解析、デバイス作製要素技術の確立、デバイスの試作および実験的評価を行い、多くの成果を得た。主な成果は以下のように要約される。 1.要素技術の確立と改善を行った。高圧パルス電圧印加により30×25mm^2程度までの面積の高品質な疑似位相整合用グレーティングを形成する技術を確立した。また電子ビーム直接描画周期電極を用いてサブミクロン周期のグレーティングを形成する可能性を見出した。新たなZn拡散LiNbO_3導波路の作製を検討し低損失な導波路を作製する条件を見出した。 2.差周波発生型波長変換デバイスの設計法を確立した。実際に基本形の同デバイスを作製し、324%/Wの規格化変換効率、1.5μm帯内波長変換特性を得た。さらに高効率化を図るために高屈折率層を装荷導波路の利用を検討し、790%/Wまでの高効率化を達成した。 3.偏波無依存化のため新たなデバイス構造を提案した。その基礎実験としてZn拡散LiNbO_3導波路でQPMデバイスを作製し波長変換の予備的結果(SHG規格化効率15%/W)を得た。 4.光通信用超高速光信号処理への応用について理論的・実験的に検討を行った。第2高調波発生と差周波発生の縦続による光スイッチング、集積干渉計構造の和周波発生型光ゲートスイッチを提案・作製し、ピコ秒領域のスイッチング動作を実証した。 5.波長変換デバイス用励起光源としての応用を視野に入れて、集積高出力半導体レーザについて理論的・実験的検討を行った。外部共振器型高出力可変波長レーザの構成を提案・試作し、出力105mW、波長域22nm、回折限界に近い広がりの平行ビーム出力の動作を実証した。
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