研究課題/領域番号 |
12555018
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
木暮 嘉明 帝京科学大学, 理工学部, 教授 (20016124)
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研究分担者 |
津野 勝重 日本電子株式会社, 基礎研究部, 第一研究室長
栗原 俊一 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (60215069)
村上 雄 帝京科学大学, 理工学部, 教授 (60016681)
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キーワード | 陽電子 / 顕微鏡 / 透過型 / 陽電子レンズ / イメジング・プレート / 試作 |
研究概要 |
本年度は内径9mmのアインゼルレンズを用いて陽電子の収束、その他のレンズ特性を京都大学原子炉実験所で行った。陽電子線源としては直径3mmの電子顕微鏡試料用の純ニッケルを水力ラビットで72時間炉心に入れ、高速中性子により照射し、58Coを作った。これを陽電子線源として、実験を行った。われわれは世界で最初にイメジングプレートが陽電子に敏感に反応することを発見したが、これを使って、陽電子の収束の場所と強度の分布実験を行った。シミュレーション通りの収束は実験出来た。しかし、ゴーストが出る場合が認められた。このゴーストは種々実験を行ったがどうやら陽電子がレンズ円筒の内面に衝突して、プラスのイオンを放出しているようであることが分かった。これを消す努力を来年度に行う予定である。さしあたって、レンズの直径を大きくし、線源部にガイドとコリメーターを付けることを考えている。また、静電圧レンズ系では陽電子も、プラスイオンも同様に収束するので、これらを分ける必要がある。ヘルムホルツコイルを作り、質量による差を検出し、レンズ内面の陽電子消滅によるイオンを検出した。現在の真空系は拡散ポンプを使っているが、来年度はターボ分子ポンプとチャンネルプレート、デジタルカメラを用いた実験も試みようと思っている。このための部品も今年度購入した。原理的には本年度非常に成功したが、精度が上がるにつれ、細かい点の改良を考えている。輝度向上実験も本年度行えなかったが、来年度には輝度向上実験も行う予定である。放射線管理が厳しくなり、半年ほど京都大学原子炉実験所でわれわれの実験を行っていた棟が改装になり、実験を休まねばならなかった。しかし、改装後は放射線管理も行き届き、新しい気分で実験ができた。 今年度は高エネルギー加速器機構での陽電子ビームがまだ使用出来なかったため、ほとんどの実験を京都大学原子炉実験所でおこなった。電子顕微鏡の改造部の部品をはずして顕微鏡自身の改装の図面を書いた。
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