研究概要 |
本研究は,プラズマCVD法やスパッタリング法,パルスレーザデポジション法等のプロセシングプラズマ中に発生する単一帯電微粒子(ドロップレット)の観測と,それに作用する力を,レーザピンセットを応用した計測法を用いてin-situ測定することを目的としている。本年度は、昨年完成したシステムを利用し、実際にパルスレーザデポジション法中のプラズマプルームの観測、及び発生した微粒子の挙動を観測した。その結果、以下のことが明らかになった。 1)プルーム中に発生する微粒子のサイズは、レーザパワーの増加とともに増加することが分かった。 2)基板上に堆積するドロップレットのサイズや密度は、ガス圧力に依存していることが分かった。 3)ドロップレットの数は外部磁界によって制御可能であることが分かった。 また、観測に用いたパルスレーザデポジション法を利用して、下記の様な薄膜の作製を行った。 1)cBN, CNなどの高硬度薄膜の作製を行った。磁界を用いた方法で、硬度の低減につながるドロップレットを減少させ、高硬度化を図った。この結果、結晶性の向上が確認され、薄膜の硬度向上がみとめられた。 2)H_2やCH_4などの可燃性ガスセンサに用いられるSnO_2、薄膜の作製を試みた。この結果、高い結晶性を持つ薄膜ガスセンサの作製に成功した。 以上の成果は,JJAP(日)やThin Solid Films(米)等のジャーナルに報告し,従来得られなかった重要な知見を得たものとして,高い評価を得た。 なお,レーザピンセットによる微粒子のトラッピングや作用力の測定については,プロセス中に発生する微粒子の速度が速く,発生位置がランダムであるため,現在もうまく計測できていない。今後は,形状や大きさ、材質の既知な微粒子を用いて,これらを測る予定にしている。
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