研究概要 |
強化繊維およびマトリックスに同種で形態の違う熱可塑性樹脂、例えば、繊維とフィルムなど、を用いることによって、以下の特長を有する複合材料の実現が可能である。 1)同種の材料であるため繊維/マトリックス感の界面特性が非常に優れている。 2)リサイクル性能が極めて優れている。 この概念に基づいて作成した複合材料を同種異形態複合材料とよんでおり、本研究は、この同種異形態複合材料の開発を行うことを目的とした。 熱可塑性樹脂の中で特にPEでは,分子鎖の直線性が良いことが特長として挙げられる。ラメラ状結晶における分子鎖の折りたたみ構造からの完全な解きほぐれが起これば,強度が飛躍的に向上すると考えられる。PEを延伸することで繊維あるいはシートが得られるため、本研究では、延伸された繊維を用いた同種異形態複合材料の開発、および、延伸されたシートを用いた同種異形態複合材料の開発を行った。 延伸された繊維を用いた同種異形態複合材料に関しては、フィルムスタッキング法により作成したPE編物強化PEフィルムを射出成形の際,金型にインサートし,溶融PE樹脂を金型キャビティ内に射出し,射出成形品を得た.射出マトリックス材料を変化させ,PE/PE射出成形品の引張特性,衝撃特性について検討した.その結果、適切なマトリックスを選択することにより,PE/PE複合材料の特性を飛躍的に向上させることが可能となった。このことからPE/PE射出成形品は,マトリックス強化に有用であるということが明らかになった。 延伸されたシートを用いた同種異形態複合材料に関しては、延伸されたシートを用いて積層板を作成し、積層構成を変化させ,PE/PE積層板の引張特性、曲げ特性、衝撃特性について検討した。その結果、PE/PE積層板は、一般に用いられるCFRP積層板などと同様の力学的取り扱いが可能なことが明らかとなった。
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