研究分担者 |
寺田 博之 航空宇宙技術研究所, 構造材料総合研究グループ企画調整室, 室長(研究者)
井岡 誠司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50283726)
久保 司郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20107139)
服部 敏雄 (株)日立製作所, 機械研究所, 主管研究員
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研究概要 |
本研究では,航空機構造に対し周期変動する熱負荷(熱波動)を与えた時,熱負荷の周期に合せて変動する機体表面の温度分布(熱波動応答)を変動熱負荷の信号に同期させて高精度にロックイン計測し,熱波動応答の欠陥・損傷による変化をもとに欠陥・損傷を計測する,新しいロックイン赤外線サーモグラフィ法を開発する. 本年度は,ロックイン赤外線サーモグラフィを用いた熱波動応答計測装置に,高周波誘導電流による熱波動負荷装置およびキセノンパルス光照射による熱波動負荷装置を付加した,基礎的な計測システムの試作を行った. (1)非冷却赤外線カメラを基礎に,赤外線計測データに対して熱波動負荷の参照信号に基づく相関信号処理を行うデジタルロックインプロセッサを付加した,ロックイン赤外線サーモグラフィを用いた熱波動応答計測装置を試作した. (2)ラップジョイントに発生するマルチサイトクラック計測のための,高周波誘導電流負荷装置を試作した.誘導電流負荷コイルとして上置型コイルの設計・製作を行い,機体表面からの検査を想定した基礎実験を行った. (3)マルチサイトクラックを導入したラップジョイント試験体を作成し,き裂検出・き裂計測に関する実験的検討を行った.出力が周期変動する高周波誘導電流を試験体に負荷した時の,き裂先端近傍の温度振幅および位相遅れ分布などの熱波動応答を計測し,電流変動周波数,コイル形状,負荷電流強度等,き裂検出・計測精度に及ぼす諸因子の影響を検討した.実験と並行して数値解析を行い,き裂検出・計測精度に関する検討を行った. (4)電子シャッターの周期的開閉による周期パルスキセノン光の照射により,機体表面から内部に向かう熱波動を発生させる装置を試作した. (5)腐食減肉を模擬した試験体を作成し,欠陥・損傷検出および定量計測に関する実験的検討を行った.周期パルスキセノン光照射時の表面温度の変動振幅および位相遅れなどの熱波動応答を計測し,パルス光の周波数が計測精度に及ぼす影響を検討した. (6)熱拡散性が異なる様々な材料に対して,ロックイン赤外線サーモグラフィ法を適用して,欠陥・損傷検出および定量計測に関する実験的検討を行った.
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