研究概要 |
本研究の目的は,オブジェクト指向方法論を用い,大規模なFA用分散制御システムの効率的な設計・開発のための,システムのモデリング・シミュレーション・実装方法論とそのツール群を実用化することである。H13年度では,以下の成果が得られた. 1)分散制御システムのシミュレーションモデル構築ツールの開発とシミュレータの実用性評価(戸村・山元) デザインパターンを応用し,Statechartsとイベント連鎖モデルで記述されるシミュレーションモデルを,Javaコードとして体系的に実装する方法を提案した.この方法を,CASEツールとJava開発ツールにより実装した.このシミュレータを,実用規模のエアコン制御用分散制御システムの設計と機能検証に利用した.その結果,シミュレーションモデル構築,および機能検証が約2週間で完了でき,従来に比べ,設計に要する時間が大幅に短縮されることが確認できた. 2)分散制御システムのシミュレーションと実装の統合化(戸村・金井・山元) Javaコードで記述されたシミュレーションモデルから,Neuron-Cで記述される各制御ノード用の実装コードへの変換方法を,デザインパターンを応用し開発した.さらにこれを,LonWorksで制御されるFA用搬送装置の制御ソフトウェア開発に利用し,提案する変換方法論が有効であることを示した. 3)Timed I/O StateChartsに基づく制御ノード用実装コードのソフトウエアテスト手法の開発(金井・岸浪) 状態遷移に加え,入出力動作に対する時間制約が記述できるTimed I/0 Statechart仕様から作成された実装コードに対し,網羅的にブラックボックステストを行えるテスト系列生成手法とテスト実施自動化ツールをJava言語で開発した.エアコン制御用コードのテストにこれを応用し,従来手作業で9日間を要したテストを,1日に短縮できることを実証した.
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