研究概要 |
半導体デバイスの材料となるシリコン基板ウエハの平面度形状は,デバイスプロセスのリングラフィに極めて影響を与えるため,ウエハの平面度形状を高精度に計測することは不可欠である。特に、半導体デバイスの高機能化、低価格化に伴うチップの微細化とウエハの大口径化が進んでいるなかで、超大型ウエハのナノ計測は重要な課題になっている。本研究は、複数の角度センサを用いた自律的走査型形状測定法を開発し、次世代大型シリコンウエハの形状を全面にわたって高精度で高速に測定することを目的とする。本年度では、まず2次元角度センサを自律的に校正する原理を開発し、前年度試作したセンサの校正を行った。角度センサのX方向出力校正を行うには、ウエハスピンドルを静止させた状態せ、Xステージステージを動かして角度センサでウエハを走査する。その後センサをZ軸回りに微小回転させて、再びウエハを走査する。その2回の走査のデータから角度センサのX方向の出力特性を調べる。角度センサのY方向出力校正をするためには、Xステージを固定し、ウエハスピンドルを回転させる。また、同様な手法で、ウエハの小さな回転を与える前後の2回の形状測定データから,角度センサの2次元出力の校正曲線を同時に得ることもできる.次に、ウエハ形状測定実験のための走査システムを構築し、1本の2次元角度センサによる形状測定実験を行った。走査システムはウエハを回転させるためのエアスピンドルとセンサを移動させる1軸エアスライドからなる。測定試料にはφ300mmウエハを用いた。角度センサの2次元角度出力から得たウエハ面のスロープマップからハイトマップに変換し、φ300mmウエハ全面の平坦度を測定することができた。ただし、現段階では同心円状の走査して測定するためもあって、ウエハ1面の測定には5分程度かかる問題がある。らせん状に走査することによる測定時間の短縮や、2本の角度センサの採用による測定精度の向上が来年度の課題となる。
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