研究概要 |
半導体デバイスの材料となるシリコン基板ウエハの平坦度形状(フラットネス)は,デバイスプロセスのリソグラフィに極めて影響を与えるため,ウエハの平面度形状を高精度に計測することは不可欠である。特に、半導体デバイスの高機能化、低価格化に伴うチツプの微細化とウエハの大口径化が進んでいるなかで、超大型ウエハのナノ計測は重要な課題になっている。本研究は、複数の角度センサを用いた自律的走査型形状測定法を開発し、次世代大型シリコンウエハの形状を全面にわたって高精度で高速に測定することを目的とする。本年度では、前年度開発した角度センサの最適化を行い,2本の2次元角度センサからなるコンパクトな角度センサユニットを設計製作した(サイズ:100mmLx70mmx30mm).校正実験などによって,センサの基本特性を調べた.センサの分解能は0.3秒程度であった.また,走査ステージシステムもより高速で,安定したものに再構築し,シリコンウエハの平坦度測定実験を行った.センサをリニアエアスライドに設置し,シリコンウエハをエアスピンドルに取付けた真空チャックに固定した.ウエハを一定速度でZ軸回りに回転させながら,角度センサユニットをウエハの半径方向(X方向)に移動し,ウエハ表面を走査する.2本の角度センサのX方向出力の差動演算から,走査ステージの運動誤差を取り除いた形でウエハ表面の半径方向スロープマップ(局部傾斜)を正しく測定する.同様に,2本の角度センサのY方向出力から,ウエハ表面の円周方向スロープマップを正しく測定する.得られたスロープマップをそれぞれの方向で数値積分をすることによって,半径方向と円周方向の断面形状を求める.さらにこの2方向の断面形状を関連付けることによって,ウエハ全面の平坦度を自律的高精度に得ることができる.300mmウエハを測定した結果,ウエハのサイトフラットネスとグローバルフラットネスをそれぞれ10nmとサブμmの精度計測できることが確認できた.また,測定精度は測定範囲(ウエハの大きさ)に殆ど依存しないことも分かり,本研究で開発した自律的超精密測定システムは次世代400mmシリコンウエハに十分対応できることが明らかになった.
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