研究概要 |
半導体デバイスの材料となるシリコン基板ウエハの平坦度形状(フラットネス)は,デバイスプロセスのリソグラフィに極めて影響を与えるため,ウエハの平面度形状を高精度に計測することは不可欠である。本研究は自律的走査型形状測定法を開発し、次世代大型シリコンウエハの形状を全面にわたって高精度で高速に測定することを目的とする。本研究で提案した新しい差動型形状測定法は、ウエハを回転させながら、センサユニットをウエハの半径方向に移動し、ウエハ表面を走査する2本の角度プローブの計4つの出力から、ウエハの回転運動誤差及びセンサユニットの直線運動誤差をセンサの出力から除去する。この方法は世界で最も簡単な差動型平坦度計測法であり、大型ウエハを高精度で高速な測定が出来る特長を持っている。また,この測定法を実現するために,世界で最もコンパクトで、高精度な角度プローブを開発した。シリコンウエハの形状誤差は小さいため、それを測定するためには、高い感度を持つセンサが必要になる。本研究では、オートコリメーション法を原理とする角度検出の高感度化のために,光位置検出素子を工夫することにした。その結果、4分割PDを利用する場合、PDの光軸上における位置を焦点位置の付近で微調整することによって、レンズの焦点距離に依存せずに、きわめて高い感度を実現できることを明らかにした。これを基に試作したセンサは、コンパクトでありながら、0.01秒の微小角度変化がはっきり検出できる。また、センサを高精度に校正できる自律的校正法を開発した。さらに,2本の2次元角度プローブからなるセンサユニット、ウエハ回転用エアスピンドル、センサユニット走査用エアスライドからなる形状計測システムを実際に開発し、提案の測定法による形状測定実験を行った。その結果、提案の測定法及び計測システムは次世代大型半導体ウエハの平坦度計測に有効であることが確認された。
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