研究概要 |
本研究は大変位・高精度を同時実現する3次元位置決め装置としてハイブリッド駆動方式のパラレルロボットを実用化するための試作研究である.具体的には,主構成要素としてスチュワートプラットフォームを含み粗動6入力+微動6入力合計12入力で6自由度空間運動を出力する冗長パラレルメカニズムを取り上げ,その最適機構総合法,高精度転がり球面軸受,要素設計および制御系設計法の開発を行って,ダイナミックレンジの極めて大きなロボット/位置決め装置を実現することを目的としている.当該研究の最終年度にあたる本年度は,昨年度に試作を行ったハイブリッド駆動形パラレルロボットについて微小位置決め特性を実験的に検討するとともに,本ロボットにおいて重要な機械要素である転がり球面軸受について偏心に関する理論的および実験的検討と軸受剛性の最適化を目的関数として設計した軸受の試作検討を行った.微小位置決め特性把握実験においては,作業領域内の各位置において20nmの目標ステップ変位を各軸方向に連続的に与えた場合について実現変位を測定した.その結果,目標ステップ変位に対する実現変位は誤差を有するものの微小なステップ変位が実現されていることが確認された.転がり球面軸受の偏心については,昨年度開発した解析プログラムを利用して軸受の揺動運動にともなう偏心を連続的に解析するとともに,これを実験的に調べる装置の設計を行って実際の偏心を測定して両者の比較を行った.その結果,両者はよく一致していることが確認された.さらに,軸受剛性を考慮して遊星球の配置を最適化した転がり球面軸受を試作し,これが実現できることを実証した.以上のように,本研究により標記のようなパラレルロボット開発のための機構,機械要素および制御系の設計指針を得ることができた.
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