研究概要 |
本研究ではインプロセス観測に基づくELID研削加工メカニズムの解明を行う。具体的にはELID電解効果を利用し砥石試験片の表面に酸化膜を生成させる。そして種々の摩擦条件下において,砥石試験片に対し連続加重式表面性状測定機を用いて摩擦過程のインプロセス観察を行い,ELID研削加工用砥石表面の酸化被膜の微視的摩耗形態(powder formation or ploughing, flake formation)と巨視的な摩耗量及び摩擦係数の関係が明らかとなった. 一方,ELID研削加工については,各種被加工物に対して,実験データを基に砥粒粒度を用いて延性モード・脆性モードの境界領域が統一的にまとめた.さらにELID研削を施した金属表面は,他の方法で鏡面にした表面よりも腐食特性が向上し摩擦が低いことが明らかとなった.今後はさらに加工中のELID研削のメカニズムを実験及び理論的な面から詳細に検討する.そして被加工物である金属表面の酸化被膜生成メカニズムについても解明を行う.一方,極小ダイヤモンド砥粒は高価であり,砥石に成形する段階でもコストがかかる.そこで砥粒と研削される材料との間で生じる化学反応を積極的に利用する手法も発案された.すなわちメカノケミカル効果により,シリカとシリコン,酸化セリウムとガラスなどの特別な組み合わせの時に非常に平滑な面が形成されることが明らかとなった.また,ELID研削加工用の砥石について,応用面ではELID研削用メタルレス導電性の砥粒が開発された.これは環境調和型の研削システムの構築を実現するものである.すなわち研削液中への金属イオン混入の低減及び被加工物表面の汚染を制限し,洗浄処理を容易にすることを可能としている.
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