研究課題/領域番号 |
12555046
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三宅 裕 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50029005)
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研究分担者 |
太田 貴士 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10273583)
辻本 公一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10243180)
梶島 岳夫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30185772)
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キーワード | 軸流羽根車 / 旋回失速 / 数値シミュレーション / ターボ機械 / 渦放出 / 翼列 / 非定常流れ / 先端漏れ流れ |
研究概要 |
軸流羽根車は低流領域で失速し、揚程特性に右上がり部を生じるために作動不安定に陥る。失速開始点の予測と失速流れが誘起する非定常流れの特性の把握は設計上不可欠であるが、これまでは経験に基づく知見を整理して利用している。失速開始点の予測は、精度はなお不足するものの、数値解析を利用する方法が開発されつつある。一方、失速流れの特性については、羽根車上、下流での位相固定平均流れを実験的に測定する研究が進展しているものの、その流れの機構を知るに足る詳細な計測は不可能で、データは皆無である。このため、数値解析による解が期待されているが、これまでのところ信頼性のある結果は得られていない。これは、失速域が固定せず旋回するため、非定常流れを扱わなければならないこと、流路形状が複雑で数値精度を上げにくいことのほかに、流れが高レイノルズ数流れで、強い乱流であることにある。このため、旋回失速流れがシミュレートされた例はない。本研究ではこの困難な問題に取り組み、初めて安定な旋回失速流れを得ることができた。計算機能力はすべての渦を解像するには容量・速度とも不足するので、数値粘性を含まざるを得ないが、時間平均の流速分布は実験と満足に一致し、定量的な精度は十分とは言えないが、流れの機構を知る目的には十分な精度を有している。二つの羽根車について解析を行ったが、低アスペクト比羽根車では旋回失速が生じなかった。旋回失速の発生が羽根車形状によって左右されることは実験的に断片的に知られているが、初めて確認された。失速域が旋回しなくとも特性曲線には変化がなく、実機の失速で区別はできない。本研究の結果は旋回失速についてのこれまでのこのような基本的な理解を修正するものである。数値計算結果から得られる流れのさまざまな解析を進めている。
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