研究概要 |
感圧塗料は機能性塗料の一種で,この塗料に外部から紫外光を照射すると塗料を構成している分子が励起され,失活するときに燐光を発する.このとき燐光は塗料に接している気体中の酸素による消光作用をうけるため,酸素分圧が高いほど燐光強度は低くなる.このことを利用し,塗料を非測定物体の表面に塗布し,外部から紫外光を照射して,塗料の発する燐光強度を観測することにより,物体表面上の圧力分布を計測することができる.本研究は,この感圧塗料に関し,励起光強度と燐光強度の関係を始め,時間応答特性や気流温度と塗布面温度との関係など圧力測定上問題となる点を明らかにし,感圧塗料を実用レベルまで立ち上げることを目的とする.本研究においては,感圧塗料PtOEP,PtTFPP,H2TFPP,H2TCPPをTLCプレート上に塗布した実験を行い,これまでに次の結果を得ている. (1)塗料分子は紫外線により励起されるが,通常は取扱いの容易さと価格面からキセノンアークランプなどが使用される.このランプに起因する迷光を防止するため,分光器を用いて励起光源のスペクトルを分析し,光源に設置する光学フィルター選定のための資料を得た.また,各種塗料の発する燐光のスペクトル成分を分光器により詳細に測定し,主要な成分のみを通過させる光学フィルター選択のためのデータを得た. (2)静止気体セルにペルチェ素子を組み込み,気体温度が圧力-燐光強度特性に与える影響を系統的に明らかにした. (3)本研究の中で,感圧塗料は経時変化があり,塗料ごとにその時定数が大きく異なることが分かってきた.このため各塗料について経時変化の状態を測定し,時定数についての基礎データを蓄積した.
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