既設のマイクロセンシング風洞を整備し、平成12年度に構築したマイクロPIV(粒子画像流束計)システムを1mm角のマイクロセンサ基盤周りの流れに適用した。正対配置とひし形配置にした場合の基部に生じる渦を計測し、詳細な渦内の速度ベクトルを得た。特に、基盤の前縁、後縁剥離に着目して、センサ周りの微細渦構造を明らかにし、流体工学上、基盤配置の重要を確認した。さらに、上記風洞において、マイクロセンサの電圧出力端子に相当するボンディングピン位置の影響を実験的に検証するため、マイクロセンサ出力に及ぼす流れの角度特性を調べ、ピン位置下流に対応する角度でセンサ出力が局所的に低下し、ピン位置の角度特性を明らかにした。併せて、上記風洞に音響スピーカによる周期的壁面ジェットを与え、下流でのセンサ応答試験を実施した。5kHzまで応答可能な熱線流速計とマイクロセンサの出力特性を比較し、1KHzまでは流れの周期的擾乱に十分応答することが判明した。 次に、設備備品費で購入したスーパーパーソナルコンピュータを用いて、センサ基盤と薄膜の熱伝導問題を含むキャビティ形状の熱流動場を考え、ナビエストークス方程式の数値計算を実施した。特に、対流熱伝達2次元問題に関する数値計算手法を実験結果より検証し、計算手法の改善に努めた。即ち、代表長さがマイクロ化することに基づく流れの希薄効果を考慮するため、薄膜に設けられたスリットを通過する流れにスリップ条件を課し、キャビティ内部の熱流動を詳細に調べ、センサの応答性を向上させる要因を検討した。 平成14年度に予定されている高応答壁面センサの試作に向けた準備として、以上の結果をもとにヒーター、センサなどの基盤上の最適配置を検討した。
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